譲りたくない辰哉 ページ22
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「ほんっと照かっこよすぎる、」
なんてデレデレとした顔で言う彼女に、「またか」なんて思いながら適当に相槌をうつ
「ねぇ辰哉聞いてる!?」
そう言ってぷりぷりと怒る彼女に
「はいはい聞いてますよぉ」
ってスマホを見ながら返すと、グイッと頬を掴まれて無理やり目を合わせられる
「ちゃんと聞いて!」
そう言ってパッと手を離しまた照のことを話し始める彼女に、ドキッとした
話してる内容は照のことなのに、簡単に触れる彼女に心を弄ばられる
「照ってさぁ、好きな子とかいないの?」
「えぇ〜、男同士でそんな話しないしなぁ」
そう言ってコンビニで買ったコーヒーで喉を潤わし、複雑な気持ちを紛らわせる
「聞いてみてよ!おねがい!このとーり!」
なんて手を合わせ必死にお願いする彼女に「えぇ〜」って返しながら、内心本気で嫌だった
聞かなくてもわかる、照の好きな子はお前だよ
なんて言いたくもないし絶対に伝えてやらないって決めてる
「まぁタイミングがあればねぇ」
「じゃ、俺もぉ時間だから行くね」
ひらりと手を振って彼女に背を向ける
「お願いねー!」
「ん〜」
こんな話したあとで、照と会わないといけないとかまじでついてないなぁって思いながら約束の場所に向かうと、既に照は店に入っていた
「お疲れ」
そう言ってクシャッと笑う照に、先程のことを思い出して汚い感情が湧く
「お〜、おつかれぇ」
へらりと返して席に座り、メニューを見ていると、照が少し恥ずかしそうに話し始める
「あの、さ」
「俺ふっかには言っておきたいことがあるんだよね」
あぁ、この感じはきっとあいつのことが好きだって言われるんだろうなぁ、なんてぼんやりと考える
あいつも照のこと好きだよ、なんて絶対に教えてやらない
「俺、Aのことが」
好き、そう照が言い切る前にすかさず口を開き言葉を被せる
「俺さぁ、Aのこと好きなんだよね」
そう言ってへらりと笑う
目を見開き、瞳を揺らす照に少しの優越感と罪悪感
「そっ、か」
「いつから、?」
「学生の頃だから、10年以上前?」
へらりと笑って
「拗らせすぎだよねぇ」
なんて言う
「そ、なんだ」
「うん、応援してる」
なんて言って無理やり笑う照
絶対、あいつだけは譲りたくないんだよね、なんて意地の悪いことを思う
「ありがとぉ」
「あ、照は何言いかけたん?」
へらりといつも通り笑う俺は最低だ
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隣人(プロフ) - あさん» ありがとうございます!春になったらの設定(?)が出た時に書いたものなので類似してるところは結構あると思います😂 (1月6日 9時) (レス) id: 7c7156921d (このIDを非表示/違反報告)
あ - 友人スピーチと辰哉の話って、春になったらの予告に似てませんか⁉️予告を見た時に運命を感じてここに戻ってきました‼️ (1月5日 21時) (レス) @page40 id: 35f01d12bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:隣人 | 作成日時:2023年12月22日 23時