めんばさん×めんばさん.2

2. ページ2

すばるくんこと同じクラスのしぶやんが、信ちゃんの影からちょこんって顔を覗かせる。小柄で無口なしぶやんは完全に今まで気配を消していた。

個性的なロングヘアーから覗く大きなつり目はクリクリで、なんとも可愛らしい顔立ちをしていてお歌の上手なしぶやんは、いるだけで一目を引くけどシャイで不器用な性格だからこうやって未だに幼馴染みの信ちゃんを介して話しかけてくる。

卒園間際なのにええ加減慣れてぇよぉとは思うけれど。

赤｢‥‥‥‥ちんぱにやる！｣

青｢うわぁー、ありがとぉ。わわ！むっちゃ可愛い袋ー？なにかなぁ！でもなぁ、しぶやん。ボクは安田先生ですよぉ｣

もはや呼び捨てどころか、ちんぱなんて不名誉なあだ名を窘めながら、ちっさい両手で差し出された紙袋を受け取る。


ガサゴソガサゴソ。

中身は‥‥‥‥


青｢ええー！なぁんこれ、ちょっとしぶやん可愛すぎる！上手にできたねぇ。えっと、この‥‥‥‥キツネ？さん‥‥‥‥｣


赤｢うさぎや｣

青｢キツネさんに似たうさぎさんって言おうとしてたんやぁ｣

中身は少々猟奇的なうさぎの形をしたチョコレートで、その歪な形から一生懸命しぶやんが作ったんだって分かる。

紫「ばれんたいんのおかえしやって。きのうのよる、たえこさんとはちじまでかかってつくったんやで。な、すばる？」

赤｢すばが、め、かいた。おひげも｣


そうそう今日は3月14日。


ボクは、いまだ珍しい男の幼稚園教諭だが「バレンタインデー」を他のクラスの女の先生がしているようにチョコを園児に配ったから今朝はそのお返しで朝からボクは引っ張りだこ。

そのお返しは手作りクッキーだったり似顔絵だったりー・・・
ビーズでブレスレットなんてのもあった。

お蔭さまでニヤニヤ唇がゆるみっぱなし。


シャイなすばるくんにまでお返しを頂けて嬉しいな。

青｢ありがとぉ、しぶやん。だいじに食べるな。ぎゅーってしてかまへん？｣

赤｢ん！｣

普段はさせてくれないけど、今日は特別らしい。でも恥ずかしいらしく、ハグすると直ぐダーッて走って行った。

珍しくその後を追わない信ちゃん。そっか、信ちゃんもボクにくれるのかな？

3.→←ホワイトデー話2.　紫×青　園児×幼稚園教諭

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す