屋上の天使（○赤中心） (ページ6)

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5、side赤ページ6

5、side赤

気が付いたら、目の前に水色のペンキを塗りたくったみたいな青空が広がっていた。

んは、とうとう天国か。

なんて強がって笑ってみたけれどまたおれの欠陥品の心臓のせいで人に迷惑をかけたんやと思うとほんまに死んだろか、という気になる。でも規則正しい電子音とか、アルコールの匂いとか、真っ白い天井とか、目が覚めてそういう場所に居なかったことは素直に嬉しい。

青「あ！気が付いた！！！よかったぁ～～」

やがて青空が遮られ、妙に甲高い声が上から降ってくる。

赤「・・・・・チビ」
青「き、きみもデカくはないやんかぁ・・・。でもよかった。もぉ痛くない？」
赤「ん、もう平気。痛くない」

驚かせてごめんな、助けてくれてありがとう。誰も呼ばないでいてくれてありがとう。おまえも怖かったやろう？ごめんな、ほんとに。

そう言いたいのに、言えばいいのに、おれは何も言えずに淡々と答える。

できれば立ち上がってアレコレ検索されるその前にすぐにでも姿を消してしまいたいのに身体が鉛のように重い。

青「そうかぁ～。はよ元気になって歌ってな！！・・・・あ、」
赤「や、おまえがずっと盗み聞いてたん知ってるからな」
青「えええ、なんでぇ～～！！」
赤「タンクからおまえの派手な金髪がチラチラ見えてんねん。あと拍手とかしてたやん。普通に気づくわ」

知ってて、追い払ったりしなかったのはおれを見るその目が屋上から見る景色みたいやったから。
飛行機雲みたいに痛いほどまっすぐにおれを見詰めていて、済んだ空気みたいに透明な心で純粋におれの音楽を楽しんでくれる瞳をしていた。イイヤツなんだろうな、と思う。

初めてあった時も酸欠でふらふらしていたおれに迷うことなく手を差し伸べてくれたし。

だからこそ。

おれとなんか関るべきじゃない。

ヒナやヨコみたいな顔をおれはもう誰にもさせたくない。

青「あ、僕の名前は安田しょ・・・」
赤「聞いてへんし。おれも言わへん」
青「まぁ、名前なんかなんでもいっかぁ。でも、村上すばるくんやろ？」

ピルケースに書いててん、すばるくんてええ名前やねぇと無邪気にチビ・・・・ヤスが笑っておれの名前を呼んだ。