屋上の天使（○赤中心） (ページ25)

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24、side紫ページ25

思わずそうならんように必死でこっちは治療してたんや、とすばるを責めそうになるが兄として誰よりも大事なすばるの大きな瞳に涙がどんどんたまっていき、いやいやするみたいに首を振る姿を見てしまうと出来るだけその希望を叶えてやりたい、と思う。

｢分かった分かった。すばるは病院嫌いやもんな。ここが好きやもんなぁ。ー‥‥それやのにどこ行こうとしとったんや｣

言いたいことは山ほどあれど、とりあえずはすばるの苦しいのを取ってやるのが先決だ。
頭をゆるゆると撫でてやりながら、すばるが眠りに落ちるまで、対処法を考えることにした。

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すばるの眠りが深くなっていくのにつれて
心電図の異常波形が落ち着いていき、酸素の数値も徐々に上がってきた。
このままでいてくれたら、いつもの薬を点滴で流すくらいで回復するかもしれない。
今日は仕事が休みなので、すばるの病状が落ち着いた今、次にケアするのはー

紫｢ヨコ｣

黒｢‥‥すばるは？｣

紫｢大丈夫や。幸い一時的なヤツやったみたいや。いま、よぅ眠ってる｣

黒｢ヒナ。‥‥‥‥‥あ、あの。その‥‥

すまんかった。あとですばるにも謝るから｣

ヨコは本当小さい声で目も合わせず独り言みたいに謝ってきた。
ヨコとすばるはあきれるほど似ていると思う。
そしてその２人だけが俺の大事な家族で守るべきもの。
当然、健康な体を持って生まれたヨコだって俺の守るべきもの。

医師として厳しく注意した後は兄に戻らせて欲しい。

紫「最初にきつく言ってもうてすばるが家を出るきっかけを作ったんは俺やし、その困った子が朝までふらふらほっつき歩いとったことが発作を引き起こす一番のきっかけやから、今回のことはヨコだけのせいやないから、ほら、そんな顔せんとしゃっきっとし！」

黒「ヒナー・・・」

紫「よくある兄弟喧嘩やろ。いっつもすばるの為にありがとうな、ヨコ」

小さいころからどうしても体の弱いすばるのせいで我慢することも多かったヨコ。
それでもひん曲がらず、すばるのことを大事に大事に思ってくれる優しいヨコ。

これからも２人ですばるを守っていくー・・・

こんな風な窒息しそうな優しさは、もう二度と勝手に出て行ったりしないように、天使の羽を折ってしまうことと似ていると俺は少しだけ気付いていた。