23、side紫 ページ24
明け方過ぎにようやくすばるが帰宅して
ほっとしたのも束の間、ヨコと掴み合いの喧嘩をしていて一気に血の気が引いた。
思春期の男兄弟なら手が出る兄弟喧嘩は普通なのかも知れないが、ウチは。
赤｢‥‥‥ッ、だい‥‥じょうぶや、か、ら｣
すばるはヨコに掴まれた胸の辺りに手を当てながら床にへにゃりと座り込む。
俺は荒い息で大丈夫と繰り返すすばるに駆け寄って、おん、せやな、大丈夫やな、と声をかけながら深呼吸をするように促した。
紫｢ヨコ、診療カバン！俺の部屋にあるから急いで取って来い！｣
この場にいる誰もが青ざめていたけれど、もともと色素の薄い色白のヨコはヨコの方が病人みたいな顔色で呆然とすばるを眺めていた。
正気に戻す為にも、家族としての役割を自覚させる為にも、ヨコに指示を出して聴診器などが入っているカバンを取りにいかせる。
赤｢‥‥‥ほっさ、や、なくてちょっと、痛い、ハァ、だけ｣
紫｢ん、心配せんでもヨコを一方的に責めたりせぇへんから。落ち着いたらちゃんと話してな｣
こくん、とすばるが頷いて少し安心した表情に戻る。
ヨコもカバンを取って戻って来た。
聴診器をシャツの下から差し込み胸の音を聞いて脈を測る。
思ったより良い結果ではない。
寝室に移動させ、ベッドに寝かせて色々な機械をすばるの細い身体に付けていく。
赤｢‥‥‥‥なんで？おれ‥‥ハァ、ちょっと痛いだけ‥‥や、のに｣
紫｢念のためにやから。大丈夫や、いつもやってるやろ｣
簡易的な携帯心電図や酸素濃度を測る機械も標準の値に
はほど遠い数値を示していた。
慢性的に強い薬で心臓の動きを助けているのでこれ以上負担になる処置はできればしたくなかったが、正直安静にして治るようなレベルでもない。
小康状態を保っていたすばるの治療計画に水を差されて、勝手な行動をした2人に医師としては腹が立つ。
紫｢とりあえず身体休めよな｣
赤｢‥‥‥‥ん｣
はぁはぁと苦しそうな口呼吸に酸素マスクを宛がい、すばるに合わせた睡眠効果のある鎮静剤を打った
それを見てすばるが小さな声で訴えてきた
赤｢‥‥い、やや。はぁ、起きたら病院はいやや、ヒナぁっ‥‥｣
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作者名：s1117 | 作成日時：2018年12月18日 19時
