18、side赤 ページ19
大倉からメットを受け取ってバイクの後ろに跨がる。
緑｢飛ばすで！すばるくんほっそいから吹き飛ばされんよーにちゃんとしがみついといてよ！｣
赤｢お、おん！｣
ヤスはおれの病気のことを、いや、おれのこと自体大倉には話していないみたいだった。こういう遠慮のないー普通のツレみたいなー接され方は今一番望んでいるモノで素直に嬉しかった。
勿論、バイクに乗るのも初めて。
赤｢やっば！風すごっ！飛んでるみたいや！｣
景色がびゅんびゅん後ろに流れて行くのも
肩で切る風も
一瞬と永遠が交差するこの空気感も
全てが新鮮で柄にもなくはしゃいだ声を上げてしまった。
やがて大倉は海でバイクを停めた。
赤｢おれ、海久しぶりや！うわあ、夜の海もええなあ！｣
緑｢なんかすばるくん普通に可愛いな。学校でもそうしときや｣
赤｢可愛いってなんや！格好良いやろが。ん、でも大倉も格好良いな‥‥。このバイクみたいな感じなんやろな、おまえのドラム。スピードフルな感じ‥‥｣
緑｢‥‥俺のドラム、たいしたことないで。ヤスや亮ちゃんとは違って｣
一瞬淋しそうな表情になって大倉が答える。
赤｢ん、でも聞いてみたい｣
そんな話をしていると、あ、大倉やん！とバイクに跨がっている男がおれらに話し掛けてきた。
男というか少年たち。
暴走族までアホやないけど、いわゆるバイクが好きでちょっと不良に片足突っ込んでいるみたいな集団。髪色も茶色や赤、金色と派手な子が多い。
不良｢久しぶりやん！いま、金賭けてアレやってたんやけど、大倉もせえへん？｣
緑｢久しぶりやなー！あー、アレか。金額にもよるかな？｣
不良｢ケチか！おまえんち金持ちだろ！
金額は1人3000円。8人いるから24000円か。｣
緑｢金持ちなんはオヤジで俺ちゃうもーん。でも結構いい額やん。よし、のった｣
不良｢ツレはどうする？｣
会話をぼーっと聞いていたら不良がおれに話を振ってきた。アレってなんやろ。
緑｢すばるくんはあかんよ。無免やもん｣
大倉がおれの代わりに答えた。
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作者名：s1117 | 作成日時：2018年12月18日 19時
