屋上の天使（○赤中心） (ページ2)

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病室でひとりぼっちで聞いていた真っ白の音楽が七色に塗り替えられていく。ああ、おれはもういつだってひとりじゃない。

１、side緑

青「大倉！大倉！！来て！て、ててて天使！！天使が落ちとった！！」

今日は高校の入学式。

何時の時代もいる話の長い校長の挨拶からようやく解放され帰ろうとしていたら、俺の頭の中がええ感じにお花畑の友人、ヤスがいきなり走って来て叫ぶ。
幼馴染のヤスと同じクラスなれてこういう「ああ、今日もヤスやなぁ」みたいな会話がまた日常的にできることは嬉しいけれど意味はあまり分からない。

緑「なんなんそれぇ」

微笑ましい気持ち半分。呆れる気持ち半分。そんな感じで俺はぴょこぴょこ跳ねるように前を歩く小さなヤスの背中に着いていった。

緑「うわ、桜満開やなぁ・・・・って、あ、コレが？」
青「コレってぇ。おん、このコぉ・・・」

ヤスが足を止めた先は、校庭にある大きな桜の幹の下。そして視線は柔らかな人工芝の緑と散った花びらのピンクがコントラストになった地面に寝っ転がる「天使」

伏せられた長い睫毛、抜ける様な白い肌、鎖骨の辺りまで無造作に伸びた髪の毛。全体的に小柄で華奢な身体のライン。目を閉じていても分かる美貌。
ヤスが天使、と揶揄するのも十二分に分からなくもないけれど・・・

緑「綺麗なコやけどさ普通にココの生徒やろ。制服着てるし」

その制服が俺らと一緒の深い緑と黒のチェックの「ズボン」ってところが残念ですけどね。なんて、話していたらー・・・