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1箱 ページ1

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「あーあ、今年も渡せんかった」



この学校で人気な宮侑への本命チョコ。

昨日夜遅くまで必死に作ったし、渡したかったけど。お察しのとおり渡せなかったのである。


クラスの女子が大量に作った菓子を詰めたタッパーを片手に男子に配り歩きしてるとかに混ざって渡せばよかったものを……。
と少し、いやかなり後悔していた。


いや、まぁ渡しに行こうともしたのだが……。
そしたら2年の中で可愛いと噂になっていた1年の女の子が渡していた。


告白もしていたし、本命で間違いない。私はその場から走って逃げたから、宮侑の返答は聞こえんかったけど……。


絵の具の青を精一杯筆で広げたような、やけに良い天気が、あー終わったな私の恋。
ただそんな言葉だけを頭に浮かばせた。


悔しさとか、悲しさとか、隣に居たかったという羨ましさとか……考えるだけでもしんどなる。


でも、もうええわ、捨てよ。
この気持ちごと、全部。


ゴミ箱に私の影ができる。だが、チョコは入らない。

はよ……捨てたいのに。

ゴミ箱に捨てる。ただそれだけの行為がなぜできないのだろうか。

外のグラウンドから聞こえてくる声とか、先生のどっかで怒鳴る声とかやけにうるさい。

ここで渡せんかったチョコを持って帰っても家で苦しむだけやんか。

それは……嫌や。

この2年間の恋をそんな引きずって汚い終わり方したない。もう、ここで終わりにせなあかん。するんや。


覚悟は決まった。
綺麗に梱包されたそれを、私はゴミ箱に捨てた。


「何してんねん」


揺れる金髪が目の片隅に見えると共に、上から降る声。この声は妙に落ち着かない。

2箱→



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沙栗 涼真(プロフ) - 夢咲 桜空さん» 誤字報告ありがとうございます。そう言っていただいて嬉しいです。更新頑張ります! (2019年2月15日 20時) (レス) id: 3b70260ad9 (このIDを非表示/違反報告)
夢咲 桜空(プロフ) - 1ページ目の『お察しのとうり』は『お察しのとおり』だと思いますよ〜。面白いから、続き待ってます♪ (2019年2月14日 18時) (レス) id: f4e457d965 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙栗 涼真 | 作成日時:2019年2月14日 16時

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