礼子様と花田色の君 (ページ5)

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５　パーティーⅠ ページ5

とある高級ホテルのパーティー会場。
会場内は豪華な食事が並び、美しく着飾った人々で溢れかえっている。
おじい様の後ろに控えめについていきながら、規模の大きさに内心驚く。
さて、なぜ私がこんな場所に来ているのかというと・・・。

さかのぼること一週間前。
いつもの食事を済ませた後に、おじい様に書斎に来いと言われた。
おじい様はめったに仕事場である書斎には人を入れたくない人で、そんなおじい様から書斎に来いと言われたのはもちろん初めてのことだった。
コンコン、とノックをし、「入れ。」の声が聞こえたのを確認してから、
「失礼いたします。」
といってドアを開けた。
おじい様の書斎のデスクはドアから入ると背を向けているため、仕事の邪魔にならないようにそっと近づいた。
「お呼びでしょうか。」
というと顔をあげて、手を止めた。
そして、重々しく口を開いた。
「ああ。実はな、一週間後都心にあるホテルでパーティーをやることになったのだがな。そこで、誰かが琴の演奏をするということになったのだ。しかしな、なかなか奏者が見つからなくての。」
といって私に向き直った。
「そうしたら、海帝大学病院の院長からじきじきにお前に演奏をお願いしたいとの申し出があったのだ。礼子は琴を弾くのがとてもうまいだろう？そこで是非ともお願いしたいのだが。」
さらに続ける。
「実はな、このパーティーでは他の個人病院をはじめ、大学病院などの重鎮とその孫も参加する大きなパーティーなのだ。そこでお前のいいところを見せれば、お前の婿君も決めやすいかと思っての。もしかしたら、婚約の依頼がくるかもしれん。」
なるほど。これは、パーティーという名の婿探しなのか。
「そういうことでしたら、つつしんで受けさせていただきます。」
といって、頭を下げた。
するとおじい様は機嫌を良くしたように、深々とうなずき
「たのんだぞ。」
といった。