当たり前からの第一歩。【としみつ】 (ページ9)

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○見つめることページ9

「ここ、おいしいんだよ！メンバーとよく来るんだよね！」

としみつくんが連れてきてくれたのは
近くにあるイタリアン。
高級店ではなく、一般的なお洒落なお店。

２人でメニューを見て、
美味しそうだね♪と言って顔を見上げる。

あ！目があった。
ドキドキが聞こえているんじゃないかというくらい
私の顔は赤くなる。

と「Aって、嫌いな食べ物ある？」
「んー、トマト？」
と「同じ！俺も！」
「本当？でもわたしトマトソースとか好き！」
と「わかる！俺も、トマトソースとかケチャップとか好き」
「え！すごい！嬉しい！いままで、何それ、変なのー！って言われてきたから。」
と「言われるよね。りょうとか、すぐバカにしてくるもん。」

そんな話で、２人の距離は一気に縮まる。

ご飯の時間も終わり、としみつくんが、
「まだ時間大丈夫？ちょっとドライブでもしない？」と言ってくれた。

「うん！全然大丈夫！」
と「あ、あとさ、としみつくん！って呼ぶのなんか肩苦しいから、呼び捨てしてよ！」
「え、あ、、、うん。」
と「少しずつ、慣れてくれたら嬉しい」
「じゃあ、としくんでもいい？」
と「いいよ！呼びやすい方で！」

なんだか、またグッと距離が縮まった気がした。

「このへん懐かしいね」
いつも何気無い道も、としくんと一緒だと
一段と輝いて見えた。

高校の前を通ると、あの頃の記憶が蘇る。

と「俺、野球ばっかりしてたからな。」
「そうだね、私いつもこっそり見てたもん。」
と「こっそり？嘘？どこで？」

あ、ついつい思い出したと同時に
恥ずかしい事を暴露してしまった。

「帰り道、グラウンド眺めてた。ゆかりと。」
と「そうなんだ、また、なんで？」
「え、、それは。」

としくんを見てたからだよ。

なんて言ってもいいのだろうか。
でも、ここで言ったら、なにかが変わるかもしれない。

「としくんのこと、見にいってた。なーんてね。」
あぁ、素直じゃない。

と「ははは、そうだったら、嬉しいのに！」
「え？嬉しい？気持ち悪くない？」
と「気持ち悪いわけないやん。好きな人だったら、嬉しいよ。」
「ん？」

と「俺、野球ばっかりやってたわけじゃないんだよ？青春してたよ？ちゃんと。」
「どういうこと？」
と「ずっと、片想いしてた。3年間も。長いよなー。」

「誰に？ん？ごめん、なんか話しについていけなくて。」

と「Aに。なんなら、今も好きだよ。」

嘘でしょ？なんて？え？