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39.白壁の誓い ページ43

茄子「A?」

A「ん?…今寝てた?」

茄子「うん。寝てたと言うよりは、意識がどこかに飛んでいったみたいだった」

A「ごめん。昨日夜更かししたせいだ」

茄子「病院でどんな夜更かしするの?」

A「…嘘。本当は寝れなかったんだよ」

茄子「睡眠薬とかもらえばいいのに」

A「そしたら今みたいに素敵な夢を見ることが出来るだろうね。
でもそれが怖いんだよ。
眠ってしまったら、二度と起きれないような気がして…
ずっと同じ思い出の中をグルグル回るだけで、いつも同じ所で終わって先に進めないんだ」

茄子「それは唐瓜の事でしょ?」

A「そうだけど…なんで?」

茄子「だってAは唐瓜に本当の事を言ったことがないから。
Aはなんで唐瓜に花を買ってくるように言ったのか覚えてる?」

A「閲覧料として」

茄子「違うよ。本当は唐瓜がお香さんの話をして嫉妬してたから言い出したんだよ。
昔は道端に咲いている花でもよかったのに、なんで高価な花をねだったのか覚えてる?」

A「その方が綺麗だったから」

茄子「違うよ。毎日唐瓜が来ると、調子の悪い自分も見られてしまうのが嫌だったんだよ。
それに、Aは唐瓜が最初にくれた花のおかげで戻って来れただろ?」

A「なんで茄子が知ってるんだ?唐瓜にも話したことが無いのに」

茄子「それは俺がAが創り出した虚像だからだよ。
知ってる?俺は一度も病院に面会に来たことはないよ」

A「…は?夏の約束は?」

茄子「あれは生きる希望を無くしてAが死にかけた時の夢だよ。
Aは病院どころか、病室からまともに出れた事なんて一度も無いよ。
俺は茄子じゃなくて、A。君自信なんだ。だからAが思ってる事も全部知ってる。
どうして本当の事を隠してやり過ごそうとしているのかも勿論知っている」

A「わかってるよ。わかってるんだ。でもお願いだからそれだけは言わないで」

茄子「ダメだよ。Aは唐瓜の事が好きなんだから」

箱の奥深くにしまい込み、目を逸らしてきた感情がここぞとばかりに激しく自己主張をし出した

その感情は不安定な私の心を更に締め付け、私を苦しませた

茄子「俺はAが川を渡らないようにギリギリのところで見守って来た。
でも、Aが苦しい思いをするなら…俺が楽にしてあげようか?」
2014.12.24

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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2014年11月21日 16時

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