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05.丁が苦手な先輩 ページ5

「丁ってAに似てるよな。腹違いの弟?」

きっかけはつるんでいた仲間のその言葉だった

A「は?誰だそいつ?」

「A知らねーの?」

「ほら。あそこで雑用させられてるあいつだよ」

仲間が指さした先には、きつい吊り目の生意気そうな餓鬼がいた

「ははっ。確かに似てるな」

それから俺の丁虐めが始まった

丁「カハッ…ゴホッ…ゴホッ…オエッ」

「汚ったねぇ〜なぁ〜」

「A〜そのぐらいにしないと丁が死ぬぞ?」

A「あ?死ぬわけないだろ。なぁ?」

うつ伏せに倒れている丁の前髪を鷲掴みにして顔を持ち上げる

丁「うっ…」

A「ほら。顔赤らめて喜んでるじゃねぇか」

「それは殴りすぎて腫れたんだろ?」

「どうしたらその顔が喜んだ顔になるんだよ」

A「…丁は俺が嫌いか?」

「好かれるわけねぇだろ」

「お前は何がしたいんだよ」

A「俺なりの愛情を注いでるだけだ」

「じゃぁちゃんとわかりやすく注いでやれよ」

「ブッ込め」

その後丁は今までに無いぐらい元気よく鳴いていた

A「そうか。これが欲しかったのか」

俺が満足していると、丁がか弱い声で「違います」とつぶやいた

A「あ?なに?聞こえない!?」

丁「なんで…なんで僕なんですか?」

丁は光の無い眼から涙を零す

A「俺に似てるから」

丁「Aさんは…自分の事が嫌いなんですか?」

A「嫌いなわけないじゃん。俺はこの世で自分が一番大好きだよ?
大好きだから、俺が受けて来た愛情を丁だけに注いでるだけだって」

丁(Aさんは被害者の自覚も無ければ、加害者の自覚も無いのか)

A「俺の親はもういないから誰も俺を愛してはくれない…。
だから、代わりにお前の事を俺に愛させろよ」
2014.11.26

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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2014年11月21日 16時

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