☆からうり 唐瓜side ページ39
「唐瓜 クラス代表で先生とAの面会に来てくれないか?」
唐瓜「俺ですか?」
「学級委員長だろ」
小学校に入ってからずっと、名簿にある名前
でも、一度も会った事のないクラスメイト
会いに行ってなんになると言うのか?
こんな事まで頼まれるなら、学級委員長にならなければよかった
重い足取りでAの病室へ向かう
「調子はどうだ?A」
名前を呼ばれたその子は俺たちの方を振り返る
日光を浴びていない、血の巡りの悪い色の白さ
何本もの点滴と酸素マスク・心電図モニター・パルスオキシメーター・血圧計
小さな身体を幾重にも拘束するチューブやコード
その光景に目を奪われたが
A「生きてます」
大人びたと言うよりは冷めた反応に
人間離れしたその美しさに見とれてしまった
クラスメイトは誰も知らない
俺だけが知っているAの存在
学級委員長とか関係なく、俺はAに会いたくて何度も面会に通った
この気持ちを形にしたくて、小学生の俺にできる精一杯のプレゼント
でも…Aには俺の気持ちは迷惑だったらしい
それでも、俺はAと一緒に居たくて
黄昏の悲しく重い空気を少しでも変えたくて
俺はまたAに会いに行く
A「またね」
待合室でAの両親に会った
手術がとても難しく、成功するかどうかも分からないと言う事
そして、手術をしても、しなくても学校には通えないと言う事
頑張ったAを笑顔で迎えようと思っていたのに…
俺よりもAの方が苦しくて、悲しいはずなのに
Aは笑顔でまた会う事を約束してくれた
だから俺は恥ずかしくて弱音を吐くことが出来なかった
手術の予定時間はとっくに超えている
夜になって親が迎えに来たけど、まだ俺は帰らない
俺はじっと
ただじっと蹲ったままで
頑張っているAの帰りを待っている
「唐瓜君」
Aの両親に起こされて目が覚める
俺はいつの間にか眠ってしまっていたようだ
唐瓜「Aは!?」
夢の中でAに会ったが、それはいい夢ではなかった
唐瓜「まさか…」
夢を思い出して涙が出る
A「勝手に殺すな」
相変わらず拘束された状態で
重そうな瞼を精一杯開け、ボソリと毒を吐く
唐瓜「よかった…また会えた」
Aの方が辛いはずだから我慢していたのに
俺は耐えきれず、ぐしゃぐしゃになって泣き叫ぶ
A「ただいま」
唐瓜「お゛か゛え゛り゛」
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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時:2014年11月21日 16時