26.迷い猫と鬼灯 ページ26
「おぎゃぁぁぁぁぁ」
今日も金魚草が美しく鳴いていると思いながら鬼灯は気にもせず廊下を進む
しかし、金魚草は鳴くだけではなく激しく体を動かしており、いつもと様子が違った
鬼灯「おかしいですね」
何本かの金魚草は茎を曲げ、その不細工な顔を地面にうずめていた
「ミャーオ」
鬼灯「猫!!?」
鬼灯は金魚草をかき分け鳴き声のする方へ進む
そこで鬼灯が見たものは、金魚草を四肢で抱えながらゴロゴロと転がり、尖った牙で甘噛みをしている小さな…
鬼灯「猫は猫でも…トラ?なぜこんな所に?」
鬼灯はトラの首根っこを掴んで持ち上げる
動物が好きな鬼灯であったが、大切に育てていた金魚草を襲われて心穏やかではいられなかった
だから今の鬼灯の顔はモザイク処理が必要なほど、公にさらす事の出来ないものであったが
「ミャーオ」
トラはそんな鬼灯の顔を至近距離で見つめながら、まだ遊び足りないとでも言うように前足をくるくると招かせ、鬼灯の角に一発かましてやろうとしていた
丁寧に首輪が付けられていたが、首輪についているのは鈴一つだけで飼い主が分かるものは何もなかった
鬼灯「主人は?」
「ミャーオ」
言っていることが分かるのか、絶妙なタイミングで返事をしてみせたトラであったが、前足の肉球を鬼灯の額に押し付け「あなたが主人です」と言わんばかりに潤んだ瞳で鬼灯を見つめていた
このままここに置いてはおけないと判断した鬼灯は、トラの首輪にリードを付けて連れて歩くことにした
トラは連れ行く先々の物や人に対してじゃれまくっていた
爪を立てるわけでもなく、噛んだとしても甘噛み程度で傷つけるわけでもない
思い返してみれば金魚草はグッタリとしていたが、鱗がはがれたり流血することはなかった
鬼灯「何がしたいんですか?」
鬼灯の質問に対しトラはゴロゴロと横に転がっては、鬼灯に腹を見せて身体をくねらせ手招きをしている
鬼灯「まだ遊び足りないんですか?」
鬼灯がトラの腹を撫でてやると、トラは四肢で鬼灯の手を挟むように抱え、喉を鳴らしながら気持ち良さそうに目を閉じていた
鬼灯「しょうがないですね」
自由に、そして我儘に甘えてくるトラを相手に、鬼灯は時間を忘れてじゃれ合い続けた
2014.12.14
☆ディズニーシーの「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」にしかいないチャンドゥと言う子トラにドハマりしています
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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時:2014年11月21日 16時