Language of Flower (ページ2)

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いつの間にか寝落ちてしまっていたらしい。
黄色のレゴではなく赤色のレゴの車を持って。

私の前日の意識では女の子はちゃんと寝かせた。

無駄に広い風呂に入れて誰譲りか分からない、色素の薄い髪を洗った。

いつも彼から匂う香りと同じ服を着せて彼女をベッドに寝かせた。

いつか忘れたけど、彼が幸せそうに笑って買った白いうさぎのぬいぐるみ。

それを抱きしめて眠っている彼女はどこかの国のお姫様。

そのお姫様が囚われているのは、高層ビルの最上階。

実の母親の愛をもらえずに誰か分からないベビーシッターと毎日を過ごしている。

皮肉にもこの子には『愛奈』という名前が付けられて。

父親はこの子を愛しているのか、分からないけど、
たまにこの家に帰ってくるのは事実。

「ママ……」

眠りながらこの子が発した寝言。

昨日からよく喋るようになったな。お姫様は。

真っ白の肌を撫でていると、玄関の鍵が開く音がした。

「ただいま。」

そう言いながらこの子のベッドが置かれている部屋の扉を開けた彼。

その声に反応したのかうっすらと目を開ける彼女。

「ただいま、愛奈。」

その声を聞いて安心したような表情を見せる女の子。
たが、刹那。

「パパ、ママは？」

彼女の疑問に答えることができない彼。
真っ黒の瞳をグラグラと揺らしながら、笑顔を作り

「愛奈、愛奈がいい子にしてたら帰ってくるよ。」

　
そう告げた。