カボチャ ページ4
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「A、ありがとう。」
目元にほくろ、高く通った鼻、薄い唇。
誰もが惚れてしまいそうな横顔をもつこの男、登坂広臣。
愛奈におはようのキスをして私の方を向いた。
そして、私に向かって言ったこの言葉。何に対するありがとうだろうか。
「おかえりなさい、広臣。」
「ただいま。」
特注の黒色のスーツ。
ワインレッドのネクタイをゆるめながら愛奈のベッドのそばにある椅子に座る。
「広臣、奥様は?」
「あぁ、あいつ帰ってこないよ。」
そう言ったのを聞いて私は愛奈をベッドから下ろす。
「愛奈、着替えに行こう。」
愛奈の小さな右手を掴むと今まで見せなかった笑顔を見せて私の手を握り返した。
洗面台で顔を洗わせると、泡を鼻の先につけてみてみて〜と元気そうに言う。
白色のふんわりとしたワンピースにピンク色のファーのコートを着せる。
今日はピアノレッスン。
愛奈はピアノが上手。
ピアノの先生からは
パパに聞かせるんだ!って頑張ってますよ。
奥様は愛奈ちゃんのピアノ、聞いたことありますか?
と言われる。
私は愛奈のママに見えるのか?と何度も自問自答したこともある。
愛奈は本当のママに会ってる?
広臣はちゃんと愛奈を愛してる?
いろんな疑問が頭をよぎるけど、実際どうなんだろうか。
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作者名:星華 x他1人 | 作成日時:2019年3月10日 16時