__ ページ28
.
Aと愛奈が出て行った後の部屋は途轍もなく寂しく感じた。
いつもAが立って料理してるキッチンに立ってみると、
愛奈が窓際で遊ぶ姿が見えるようにおもちゃを置いてるのがわかる。
3年。
愛奈が生まれてからのこの3年間。
その前の1年。
Aの記憶がなくなった。
俺と出会った事は覚えてるらしい。
だが、肝心の記憶がない。
思い出して欲しいけど、無理はさせたくない。
と、空っぽになった左手の薬指を触りながら思った。
プライベート用のスマホを確認すると、
岩ちゃんからのメッセージ。
Aと愛奈をマドラスの本社の特別室に入れた、と
の連絡。
良かった。
ここから俺も行動を始める。
いつもなら専用の車を近くのビルまで呼ぶけど、
今日は近くのコンビニからタクシーに乗ることにした。
・
タクシーに乗り込んで行き先を会社と告げる。
革の鞄から取り出したiPadで例のGPSが赤く光っているところを探す。
どこだ?ここ。
GPSの光っているところは、
嫁と俺の住むマンションではなく、
嫁の行きつけのお店とかでもなく。
全く関係のなさそうな、しかも、東京ではない、
千葉県の海の近くで光っていた。
226人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星華 x他1人 | 作成日時:2019年3月10日 16時