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JK「俺ね、本当はAのこと昔から好きだったんだよ」
「昔?」
2人で手を繋いでベンチに腰かけて、グクの肩に頭を置いていたら、ぽつんと呟いた彼。
JK「そう。3歳くらいの時にさ、母さんたちとお祭り行ったでしょ?」
「ああ〜行ったね、懐かしい」
久々に蘇った記憶から、懐かしむことが容易いほど時が経った今はもうその時の感情は覚えていないことも多いけれど。
JK「あの時、はぐれたAを俺が見つけたでしょ?
そしたらA、わたしはグクくんがいないと生きていけない、グクくんの隣にいないと死んじゃうんだって泣いたの。俺あの時のこと鮮明に覚えてるんだよね。
ああこの子は俺が守らなきゃいけないんだって、そう思った。」
晴天を仰ぎながら微笑むグクの横顔があまりにも綺麗で、脳がもう無理だというようにがくがく震えた。
グクから放たれる言葉によって少しずつ記憶が蘇って、その時の感情に胸を支配される。私を助けてくれたグクは世界で1番輝いていて、ずっとこの人の隣にいるんだって幼いながら強く思っていた。
「あの時のグク、すっごいかっこよかった
今でも覚えてるよ。浴衣がぼろぼろになるのも気にせず汗だくで走ってきてくれて。私の中で誰よりも輝いてたの。」
JK「…これ以上可愛いこと言わないでよ
愛しきれなくなっちゃう」
そう言ってはにかむグクに、彼らしい優しい目で見つめられて。あまりにも綺麗で、儚くて、同じ世界で生きている事に疑問さえ抱いてしまうくらい。それくらい愛おしくて、大好きなグク。
JK「…キスしてもいい?」
「もう無かったことにしてって言わない?」
JK「…もちろん。
これからもずっと、俺の隣で笑ってよ」
迷うことなく頷けば、目じりに皺を寄せて嬉しそうに笑うグク。
おでこを合わせて見つめ合えば、どんどん好きが増していく。
目を閉じれば優しく降ってきた彼らしいキス。
きっと私、今世界中で誰よりも幸せだよ
2人で見上げた空は、見た事のないような
鮮やかな光を纏って輝いていた。
君と僕が違う世界を生きたなら__Fin
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作者名:toryukina | 作成日時:2020年9月28日 17時