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｢…、っ寒い｣
熱の篭った温もりの中でごろごろと寝返りを打っていたら、突然肌が冷たい風に晒される。その冷気に一気に鳥肌が立ってまぶたを開くけど、ぼんやりとしか前が見えない。
｢なに…？｣
ぱちぱちと瞬きしながら目を擦ったら、ぼんやりと人影が浮かぶ。その人が持つ布団に手を伸ばしながら声をかけたら、突然強い力で身体を引き寄せられて。びっくりして声も出なくて、それでも頑張って視線を上に向ければ、にこっと昨日と変わらない笑顔を浮かべるグクの姿が映る。
JK｢目玉焼き焼いたから食べて｣
｢ほんと？食べる……｣
JK｢こら寝ようとしないで｣
｢待ってあと5分｣
JK｢だめだよ、今日は行きたいとこあるからさ｣
粘る私をものともせず、軽々と抱き上げられたと思ったらソファにストンと落とされて、グクの手料理が並ぶ。以前と変わらずそこに顔を見せた目玉焼きに思わず笑みがこぼれた。半熟が好きなグクにつられて私もそれを好むようになって、毎日2つずつ冷蔵庫の卵を消費していた。
｢美味しそう、ありがとう！｣
JK｢その顔見れただけで充分だよ
いただきます｣
そう言って手を合わせるグクの口調はさっきから落ち着いてるけど、見た目はその真逆だ。頭は鳥の巣みたく爆発しているし、肌荒れを知らない頬には枕の痕がくっきりと濃く居座っている。
グクもまだ起きて少ししか経っていないようで、ぼーっと窓の外を眺める瞳はほとんど開いていない。そんな姿も可愛くて、思わずカメラに収めれば、もっとかっこいい所にしてよ、って唇を尖らせてて。昨日の朝までなかった存在が、今は当たり前のように私の心を侵食していく。その事実を身体で感じながら、幸せを抱いていた。
｢そう言えばさっき出かけるって。｣
JK｢ちょっと歩くだけだけどね｣
そういったグクはその行き先を頭に浮かべたように、満足そうに鼻を鳴らす。その小動物のような仕草に、とくとくと血流が身体を巡る速度を早めた。
JK｢よし、A準備できた？｣
｢うん！｣
ご飯を食べ終えたら、2人で食器を洗って、軽く掃除をして。自分の家の事のように一生懸命家事を手伝ってくれる彼にまた胸がぎゅっと音を鳴らして揺れた。
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作者名：toryukina | 作成日時：2020年9月28日 17時
