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先程とは似つかないような四角い口で笑った彼は何とも可愛らしくて。
｢俺テヒョンって言うの。仲良くしてねAちゃん｣
さらに顔を近づけられて、ひっと思わず声が漏れそうになる。人間こんな整った顔を間近で見たらこうなるのか。 条件反射でこくりと頷けば、彼はひひっと笑う。そんな笑顔にまた魅せられて、本当に中毒性のある人だと思った。 そんなテヒョンさんは、それにしてもいい女だねなんて絶対思ってないだろって事を口にして私を上から下までじっと見つめる。
｢…あれ、私名前言いましたっけ？｣
ふと頭に浮かんだ疑問を口にしたら、あ、と口を塞ぐテヒョンさん。
TH｢…あ〜っと、んー、さっきAちゃん言ってたよ自分で｣
言ったっけ。まあ私の名前を知らないはずの人がそう言うんだからそうなんだろう。少しの蟠りが残りながらもそうですか、と目を合わせれば、つれないねって笑う。それにしてもこの人、なんでさっきからこんなに馴れ馴れしいんだ。知り合いでもないのに。距離は近いし、敬語なんて壁は一切見えないし。
｢あのテヒョンさん、そろそろ…｣
TH｢あぁ行く前に連絡先教えといて｣
出会ったばかりの人に連絡先は教えないタイプの人間なんだけど。少しばかり威圧的な切れ長の目に、断るすべさえ忘れてしまう。素直に頷いてカトクのIDを渡して彼と別れる。なんだか全体的に変な人だったなと思いながら授業に出て、ソリと帰路に着く。
SL｢今日のメンツは豪華だからね〜
楽しみにしてて！｣
そう唐突に話し出したソリに焦る。断るの忘れてたよ、テヒョンさんのせいだ。しばらくあの人のことで頭がいっぱいだったから。
｢…今から撤回できたり｣
SL｢無理に決まってるでしょ｣
｢……ですよね｣
最後の願いを込めて聞くけどバッサリとあしらわれた。私の希望よ、さよなら。大きなため息を着けばじろっとソリに睨まれる。怖いんだから。
ああ、グクに会いたい。合コンにグクがいればいいのに。喜んで参加するのに。
そんな願いも虚しく、ソリに手を引かれて向かった先はとんでもなくオシャレな場所で。オシャレと言っても清楚な感じじゃなくて、なんかこう、ちょっとえろい感じの。ムーディな音楽は心を酔わすし、踊る男女はもう周りを見てない。
なんだこの空間。合コンってこれが当たり前なのか。
ソワソワしながらもソリの後ろに着いていけば、10人がけのテーブルから手を振る彼女の友人の姿が見える。
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作者名：toryukina | 作成日時：2020年9月28日 17時
