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まあ私から見ても自慢の女だから否定はしないけどさ、なんてこちらをちらっとみて続ける彼女はこの上なく可愛い。ソリはああいうけど実際すごくモテる子で、周りからの視線を浴びてることだって多いのに。
サバサバしてる子だから曖昧な告白には気が付かないことも多いんだけど。
SL「でもねぇA最近ほんと可愛いよ。やっぱ乙女だから?恋は盲目ってやつ?あれ、使い方合ってる?この間まで板チョコだったここもこんなにおっきくなっちゃって!」
なんてムニュッと私の胸を揉むから。
「…ん、っ」
突然の事で変な声が出てしまった自分が情けない。
SL「…ちょっと、なんて声出してんの。要求不満なの?なら尚更合コン行くよ!ジョングクくんなんて忘れちまえ!」
そう言ってお弁当片手に走り去っていったソリにため息が漏れる。後で適当に断ろうと思って立ち上がれば、数メートル後ろにいた男性と目が合う。同学年には見たことの無い人だから先輩なのかな。礼儀としてぺこりと頭を下げれば、会釈でも返されて終わりだと思ったのにその人の視線は外れることはない。なんだろう、顔になにか着いてる?そう思って顔をぺたぺた触るけどこれといった感触はなくて。じゃあなんだ、私じゃないのか。後ろを振り返るけどやっぱり誰もいない。
「あの、なにか…?」
感情の勢いに乗せて質問を投げかければ、話しかけられると思っていなかったのか、その人はぴくっと肩をあげる。
「…あ、ごめん。なにもないよ。」
低めの声で返事をくれたその人に、なんだったんだろうと思いつつも軽く頭を下げて彼の前を通り過ぎる。と思ったんだけど。急に強い力で腕を引かれて後ろへ倒れ込めば、誰かに抱きかかえられている感覚がする。驚いて、ぎゅっと閉じていた瞳を開ければ、唇を噛みながらこちらをじっと見つめるさっきの男性の顔が間近にあって。びっくりして起き上がろうとするけど、唇をてらてらと光らせて目を細める彼の優婉さにやられて力が入らない。
そんな私を見て、片眉を上げて笑う。その容姿は端麗で見るものの目を離さない。こんな人がうちの大学にいたんだ。なんて、郵貯に考えている暇もなく今度は首の後ろに手を当てられて、ぐっと顔が近づく。
その手があまりにも冷たくて、温かかった項との温度差に肩が震えた。
「…そんなに怖がらないでよ」
ちらっと薄い唇から舌を見せた彼はそう小さく呟いて私の身体を起こす。
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作者名:toryukina | 作成日時:2020年9月28日 17時