34 ページ34
・
この手紙は、会うと寂しくなるから
ポストに入れておくね。
まずはA、お誕生日おめでとう!
生まれてきてくれてありがとう。
多分これ毎年言ってる気がする。
だけどAも俺への手紙には
“グクに出会えて良かった”って絶対書くもん。
だからいいよね?
でもさ、もう17年も一緒にいるとか
怪奇現象だと思わない?
嬉しいんだけどさ。
それから、多分今、Aは俺がどこにいるか
気にしてるよね?
俺の自意識過剰じゃなかったらだけど。
今俺、アメリカにいる。
父さんが死んだんだ。
だから俺、アメリカに行って、
父さんのしてきたことを
この目で見てこようと思う。
それで、父さんの代わりに、俺に出来ることをする。
それから、どうしても伝えたいことがある。
ごめんねA、あの時は守ってやれなくてごめん。
一番苦しいときに、寄り添ってやれなくてごめん。
不安にさせてごめん。
言葉足らずでごめん。
それと、俺に色んな幸せをくれてありがとう。
どんなにすごい魔法とだって比べられないくらい、
大事な事いっぱい教えてくれたよね。
お前は俺の全てなんだ。
幸せでいて欲しいんだ。
お前が幸せなら俺、誰よりも幸せなんだよ。
でも俺は欲が強いから、
俺がAを幸せにしたいって思ってる。
バカげてるよね。
実際Aを不幸から守ることだって
出来てないのに。
俺、このままAのそばにいたら
自分の気持ちが邪魔して、
お前のこと傷つけそうだ。
だからどうか、俺を忘れて。
俺がこれから言うことも。
馬鹿な幼馴染の戯言だ、って
思い出話にして笑ってよ。
好きだ。
419人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:toryukina | 作成日時:2020年9月28日 17時