’７ 好奇心 ページ10
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「...どういう事ですか。人間の村なんて行っても何もありませんよ。」
「それでもいいからー！行きたい！」
エメが止めようとするとフェリは即座に駄々っ子モードになった。
こうなったらもう誰も止められないのだ。
エメはそれを見たときもう諦めきった顔をしていた。
そして本日二度目の大きなため息をまたついて、しぶしぶ口を開いた。
「分かりました...。でもしっかり外出許可を取りましょう。怒られたくありません。」
そう言うとフェリの表情は一転し、目を輝かせていた。
「ほんと！？うん、行こう！早く、早く！」
「はいはい...。」
実際は外出許可は取らなくて良いのだが、
エメは両親がフェリを止めてくれると思って態々許可を取りに行くことにした。
(お父さんは兎も角、お母さんはきっと止めてくれるでしょう。)
そう思いながらエメはフェリと手を繋ぎながら長い絨毯の敷かれた廊下を歩いていた。
・
−書斎−
重い木の扉が開く音でファクティスは仕事を進める手を止めた。
「...おや、エメとフェリかい。どうしたんだ？」
いつも通りの優しい声で尋ねる。
エメは昨日のことなど何も無かったかのように平然としていた。
「お母さんはいますか。用があるのですが。」
「スクレは今疲れて寝ているんだ。用件なら僕が聞くよ。」
エメは黙り込んだ。
この父親ならきっと二つ返事で許可するだろうと思ったからだ。
フェリはエメが言うのを待っていたが、
待ちくたびれたようで自分から言うことにした。
「あのね、フェリたちにんげんの村に行きたいの！」
笑顔でフェリはそう言う。
すると、父親も青色の目を細めながら承諾した。
「あぁ、勿論良いとも！
ただし、フェリはエメの手を離さないのと、翼は出来る限りしまうんだぞ。」
「うん、分かった！」
エメは頭を抱えた。
本当は村に行きたくも、行かせたくも無いのだが一度村に行くことを許してしまった以上、
今行きたくないという訳にはいかないだろう。
だが、フェリはそんなエメの様子も知らずに喜んでエメの手を引いて書斎を出ようとしていた。
エメは死んだような顔をしながら手を引かれて書斎から出ていったのだった...
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