’6 お小言 ページ9
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外は朝日が昇り始めていて、窓から光が差し込む。
「ふわぁ......。」
そんな早い時間に、
紅色のベットで寝ていた少女、フェリは目を眠そうに擦りながら起き上がった。
ベットはフェリの身長と比べると高く降りるのにも一苦労だ。
フェリはベットの下へと真っ黒な羽でゆっくりと降りて行った。
ふわりと、ネグリジェの裾が浮き上がる。
冷たい床へと足が着くと、フェリは真っ先に部屋の外へと出ていく。
今日はやりたい事があるのだ。
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−エメの自室−
「はぁ...流石に読みすぎましたね。もう朝日が...。」
エメが椅子から立ち上がり、
ずっと読んでいた分厚い本を小さなテーブルに置く。
レースのカーテンは朝日で薄く透けていた。
そろそろ寝ようか、とエメが呟いたときだった。
「お姉ちゃーん!!!」
バタンと勢いよく重たい扉が開き、大きな音が鳴る。
その音に驚いたのか、エメは少し肩を震わせた。
だがすぐに咳払いをして取り繕った。
「フェリ、いつも言っているでしょう。
ちゃんとノックをしなさい。
それにフェリのメイドはどこなの?フェリの年は一緒に居なきゃ駄目でしょう?」
フェリはメイドについて聞かれたとき、申し訳なさそうに肩をすくめた。
フェリやシヨンくらいの年はまだメイドが付いていないといけないのだ。
目を離した隙に何処かに行ってしまうかもしれないからである。
勿論エメにも付いていた。
優しく、エメの部屋掃除もこなしてくれた完璧なメイドだった。
エメはフェリが肩をすくめたのを見ると呆れたように溜め息をつく。
「...フェリ。またメイドを困らせるおつもりなのですか?
この前なんかメイドが困って泣いてしまっていたではないですか。」
「ごめんなさい...。でもマリーはすぐ駄目っていうんだもん。」
エメはフェリの言葉に溜め息をついた。
マリーとはフェリのお付きのメイドである。
よくフェリの突拍子のない行動に困っては泣いている。
だがメイドとして危ない行動は止めなければいけないので、
必死にフェリの危ない行動を止めているのだ。
「フェリ...。マリーは貴女の為に言っているのですよ。」
「でも私はやだもん!」
フェリが頬を膨らませて怒る。
エメは更に困った顔をした。
「もう、まったく...。
で?何の御用でしょうか。こんな朝早くから。」
「あのね...そのね...
にんげんの村に行きたい!」
「.........は?」
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