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飲み会の日、初めて目が合った瞬間のことはよく覚えている。
なんて鋭い眼光なんだ、と驚いたから。
「おうぎさぁ、」
「ねえ、もう酔ってんじゃん。日本酒なんか頼むからだよ」
まだまだ序盤のタイミングで、ぐっと肩が重くなったと思えば隣の友人が凭れ掛かってきた。この場に私を呼び出した張本人だ。
まだ自己紹介すら一周していないのに、体は熱いし喋り方もぼんやりしてる。幸い彼からスタートしたリレーだから任務は既に終わってるけど。
「それもあるけどちげーよ。俺そもそもこれ2軒目なの。さっきまでバスケ部の奴らと飲んでた。ほら高3で同じクラスだった高田とかあの辺」
「あー、今こっち帰ってきてるんだっけ？そういえばストーリーで見た」
「そーそー」
すっかり内輪な話を進める私達に、なんとなく注目が集まるのが分かって申し訳なく思った。
初対面がほとんどなんだから、こういうとき会話が弾んでる人間の方を見てしまうのは人の性だ。
「オーギって名字？だよな？」
「最終奥義とかの“オウギ”？すげーかっこよくね？」
向かいに座っていた男子達による質問は、これまでも何度か異性にされてきたものだった。
“最終奥義”なんて言葉、日常でそう使うものでもないのに、やっぱり男子はそういう響きに弱いのかもしれない。
「あー、ごめん。団扇とか扇子とかそういうやつの“
「強キャラて！そっか扇ぐ方かー」
「扇さんって名乗られるだけでなんか涼しくなんな」
「それはプラシーボ効果にも程があんだろ」
「ばくごう」ほど音のインパクトは無いながら、シンプルに珍しいし「奥義さん？」と確認されやすい(そして訂正する)ので、自己紹介の後は大抵の人に「扇」と呼ばれる。
「おぎちゃん」やら「おーちゃん」やら派生はあれど、名前で呼ばれることはほとんどない。
名字が珍しい人は名前呼ばれないがち。あるある。
「……オーギ」
口の中で小さく転がすように呟かれた響きに、顔と名前を一致させるように真っ直ぐに向けられたその視線に、どきりとした。
きっと口に出してみただけで私を呼んだつもりはない。
聞き慣れないから繰り返しただけで、私自身を覚えてやろうとも思ってないだろう。
強い意図は含まない視線なのに、支配者だとか為政者のような鋭さと強さを孕んだ瞳だった。
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小川優(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ラブラブしすぎないところがよかったです!!!!!久しぶりにいい作者様に出会えました! (2022年8月9日 7時) (
レス) id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 「惚れた貼れた」から読ませていただいている者です！いつも素敵なお話をありがとうございます(T_T)かっちゃんと「何か言わずとも分かる」距離感のお話は初めて読んだので、2人を暖かく見守ってるような気持ちでした…♡Part2も楽しみにしてます…！！ (2022年2月23日 9時) (レス) @page31 id: d51b99dca2 (このIDを非表示/違反報告)
えななん(プロフ) - めちゃよかったです！後日談楽しみにしてます！ (2022年2月20日 22時) (レス) @page31 id: 15071f4cc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とろろ | 作成日時：2022年1月28日 1時
