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「だべ？俺、恋人相手ですらちょっと腹立つことあんのに、お前らすげーよ」
「それは狭霧と彼氏さんにしっかり関係性があるからだよ。
私たちほぼ他人？ギリ友達……でもないな。だから『こうして欲しいのになんで分かんないんだ』みたいな理想も期待もないもん」
「うーん……そういうもんかあ」
我が物顔でソファにどさりと座り込んだ狭霧が天を仰いで、「誰かと暮らすって、楽しいけど難しいよなー」とこぼした。
その横で私はひとりバタバタ動き回ってる。「ちょっと。座ってないで手伝ってよ」と文句を飛ばしても「んー」しか返ってこない。
＿＿＿＿引越しまで、あと1週間もないのに。
「とりあえずその辺の本、段ボールに詰めてって」
「あーい」
なんとかソファから引きずり下ろして、疲れたとか言うから座ってできる作業を命じる。まあその段ボールを運び出す作業こそ大変なんだけど、それは後日。
「これ初版じゃん」とか「あーこれおもろいよな」「それ好きならこれもいいよ」なんて感想を交えてうだうだ作業を進めていると。
ピーンポーン。
突如軽快なチャイム音が、すっかり物の減った部屋に響き渡る。
「あれ？」
「客？宅配？」
「どっちもアポないけど……しかもこれエントランスじゃなくて部屋前インターフォンの音」
「え、怖。それ大丈夫なやつ？」
緊張した顔つきで「俺出るわ」と立ち上がる狭霧を慌てて「いいよいいよ」と引き留める。
本当に何か犯罪だったとして、たまたま家に来てただけの友人を巻き込むのは忍びない。それは男だとか女だとか関係ない。
……それに、予想が当たればこれは犯罪から最もほど遠いはず。
「多分……時々あるんだけど、」
スリッパをパタパタ走らせてインターフォンに駆け寄り画面を覗き込む。
「…やっぱり。また鍵忘れたの？……爆豪くん」
『はよ開けろ』
「はーい。ちょいまち」
いつの間にか背後に立っていた狭霧が「なんだー、爆豪かよ。安心した」と安堵のため息を吐く。
結局、問題があればどうにかしてくれるつもりだったっぽい。いいやつだ。
「月に2回くらいあるんだよね。
爆豪くんがうっかりしてて帰宅まで気付かない、っていうより、どうせ私がいるからって忘れても取りに戻らないんだと思うけど」
「確かにオートロックなら施錠はできるし、扇さえ家にいりゃ鍵いらねーよな」
マンションにしては無駄に長い廊下を後ろから狭霧がついてくる。一緒に爆豪くんを出迎えるらしい。
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小川優(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ラブラブしすぎないところがよかったです!!!!!久しぶりにいい作者様に出会えました! (2022年8月9日 7時) (
レス) id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
ふぅ(プロフ) - 「惚れた貼れた」から読ませていただいている者です！いつも素敵なお話をありがとうございます(T_T)かっちゃんと「何か言わずとも分かる」距離感のお話は初めて読んだので、2人を暖かく見守ってるような気持ちでした…♡Part2も楽しみにしてます…！！ (2022年2月23日 9時) (レス) @page31 id: d51b99dca2 (このIDを非表示/違反報告)
えななん(プロフ) - めちゃよかったです！後日談楽しみにしてます！ (2022年2月20日 22時) (レス) @page31 id: 15071f4cc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とろろ | 作成日時：2022年1月28日 1時
