第一話 魔法界からの招待状 ページ7
あまりにジロジロ見られるので、居心地が悪い。
「さて、ミス・A。杖腕はどちらですかな？」
「……え？」
「利き腕のことじゃよ」
「あ！ ああ。右です」
「よろしい。そのまま真っ直ぐ伸ばして、そう」
マダム・マルキンの店の時のように、メジャーが勝手に計っていく。
オリバンダーさんは棚を漁り、いくつかの箱を持ってきた。そして、その内の一つを開け、慎重にその中から杖を取り出した。
「ブドウの木、芯はユニコーンの鬣、29cm。振りやすい。さあどうぞ」
杖を渡され、持つか持たないかの内にパッと取られた。
「ダメじゃ。ああ、これはどうかな？ ナナカマド、芯はドラゴンの心臓の琴線。28cm、しなりがある」
だけど、これも触れるか触れないかの内に取り上げられた。
こんな風に、色々試すがいっこうに杖が決まらない。
それなのにオリバンダーさんは楽しそうだ。
「難しい。おおいに難しい。だが、だからこそピッタリ合う杖があるというものじゃ」
ニコニコしながら箱を取り出していく。私の周りには、いつの間にか箱がうず高く積み上がっていた。
どれくらい試しただろうか。オリバンダーさんは奥の方から一つの箱を持ってきた。
「これは滅多に無い組み合わせじゃが。どうだろうか。サクラ、25cm、芯は不死鳥の尾羽。良質でしなやか。さあどうぞ」
私がその杖を握ると、フワリと手が温かくなった。
「ブラボー！ その杖じゃな。早速、包まんと」
やっと杖が決まり、7ガリオンを払って店を出た。
疲れたけど、買い物は楽しかったな。
賑やかなダイアゴン横丁を歩きながら、私はキョロキョロと見て回る。
すると、両親がもじもじとしながら私の前に立った。
「A」
「何？ お父さん、お母さん」
「「入学おめでとう!!」」
差し出された
「えっ、えっ？ どうしたの？ いきなり」
「入学祝いよ。学校には一匹なら動物を連れていって良いことになってたから。お父さんと相談してこの子にしたの」
「うわあ、ありがとう！ お父さん、お母さん！」
「どういたしまして。ちゃんと可愛がるんだぞ」
「うん！」
今まで動物は飼ったこと無かったから、とても嬉しかった。
めいいっぱい可愛がってあげよう。私の猫なんだから。
「私はA。これからよろしくね」
優しく語りかけると、猫は「ミャア」と鳴いた。
うう、可愛い！
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
