第一話 魔法界からの招待状 ページ6
「ああ。また会おう」
そう言ってふわりと微笑んだ。今までのトゲドゲしさが消えて、優しい雰囲気になる。
トムは扉を開けて、賑やかなダイアゴン横丁に消えていった。
私は、さっきからボーッと突っ立っている。先程の彼の笑顔が忘れられないのだ。
あれは相当モテるでしょうね。女の子たちがほおっておかないわ。
「ミス・A、それでは行こうかの」
「……えっ？ は、はい！」
ダンブルドア先生に名前を呼ばれて、我に帰る。制服を受け取り、私たちは店を出て教科書を買いに向かった。
「A、もしかしてさっきの子が気になってたりする？ お父さん、Aにはまだ恋は早いと思うけど」
「もう、お父さん！ そんなんじゃないから！」
お父さんが横でゴチャゴチャと言ってくるので、バッサリと切り捨てる。
そう。別に気になってる訳じゃない。ただ、顔が整っていて見とれていただけだ。
「ホッホッホ。ミス・Aはお父上に愛されているのお」
ダンブルドア先生にも聞こえていたようで、私は恥ずかしくて、お父さんの腕を叩いた。
お父さんは痛がりながらも「可愛い！」と悶絶してたけど。
流石に、引いた。
一通りの学用品を揃え、最後に杖を買いに行った。
「ここじゃ。杖と言えばオリバンダーが一番じゃ」
ダンブルドア先生に示された店には、『オリバンダーの店』という看板がかかっていた。ショーウィンドウには、埃を被った杖が紫色のクッションの上に置かれている。
店の中に入ると、とても静かで、ここだけ外とは隔絶されたような印象を受ける。壁の棚には所狭しと細長い箱が積み上げられ、天井まで届いている。
「いらっしゃいませ」
いきなり声がかかり、私は飛び上がった。
目の前に大きな瞳をギョロギョロさせたお爺さんが立っていた。
「やあギャリック、久しぶりじゃのお」
「ああ、アルバス。この通りまだまだ現役じゃよ」
どうやら先生とお爺さんは顔見知りらしく、手を握って背中を叩きあっている。
「ミス・A、こちらはギャリック・オリバンダー。この店の店主じゃ。最高の杖作りなんじゃよ」
「は、初めまして」
お爺さん……いや、オリバンダーさんはその大きな瞳で私を見ると、
「こんにちはミス・A。この店の杖はどれも最高のモノばかり。素材の木は様々、芯はユニコーンの
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
