第六話 誘い ページ48
「セルウィンと会ったことあるの？」
「ああ。ホグワーツ特急でね。僕の気を引きたそうにしてたけど、マグル生まれだって言ったら、
入学式でのセルウィンの態度を思い出し、私はイラッとした。カノンにまで失礼な態度を取るなんて、相変わらず嫌な子ね。
「スラグ・クラブには来てほしく無いわ」
ボソッと呟くと、カノンは「そうだね」という風に頷いた。
「残念なことに、週末のスラグ・クラブにはセルウィンも来るよ」
突然、私たち以外の声が聞こえて、私とカノンは飛び上がった。
バッと声のした方を向くと、分厚い本を持ったマルシベールが立っていた。ニヤニヤと面白そうに私たちの反応を見ている。
「そうなの？」
私はあからさまに嫌な顔をした。
その様子に、マルシベールは笑いを堪えている。
「別に、いちいちあの女に構う必要は無いよ。無視だよ、無視。これが一番効果的」
マルシベールは自信満々に人差し指を立てて、私にアドバイスをする。
「お前なあ。無視して、結局失敗したお前が言っても、説得力無いぞ」
マルシベールの後ろから、エイブリーがすかさず突っ込む。
「別に……あの時はあの女がしつこすぎただけであって……」
「それがティアラ・セルウィンだ。無視はお勧めできないな」
「じゃあ、エイブリーは何か良い案あるのかよ」
「無い」
「無いのかよ！」
「あるわけ無いだろ。あの女に目をつけられたら、逃げられない。というわけで、気をつけたまえミス・A」
「は、はあ……」
エイブリーにアドバイスと言えるかどうかわからないアドバイスを貰う。
まあようするに、セルウィンに目をつけられなければ良いのね。覚えておこう。
「おい。君たちここにいたのか……」
ここでトムが登場。
彼も分厚い本を持って、呆れたようにマルシベールとエイブリーを見つめていた。
「あ、A」
私に気づいたトムは笑顔になるが、私の向かいに座っているカノンを見て、一瞬顔をひきつらせた。
不思議に思ったが、それより私は気になっていることがあった。
「あなたたちは何してるの？」
それぞれ分厚い本を持ち、チラリと見えた背表紙には『純血一族一覧』と書いてあった。
「ああ。調べものをしてたんだよ。リドルの生まれが何なのかをね」
マルシベールは横目でトムを見やる。トムは
「リドルは孤児院出身だから、実のところ生まれがわかっていない。純血か半純血か、はたまたマグル生まれなのか。
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
