コリウスの花言葉 (ページ33)

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第五話　仲直りの宴ページ33

次の日から、私に嫌がらせをしてくる輩(やから)はいなくなった。
　何でも、レイブンクロー生の私に対する “イエロー” 発言が問題になったとか。
　嫉妬はしても、相手を侮辱するのは良くないと、あのレイブンクロー生たちは同じ寮生たちにもお咎めを受けたらしい。
　おかげで安心して勉学に励むことができている。今までは、どこに居ても何かしらの嫌がらせを受けてきた。正直鬱陶(うっとう)しかったし、私自身、いちいち相手をしたり、避けるのが疲れてきたところだった。
　しかし、順調に思える学校生活も、トムとの喧嘩を思い出すと、たちまち憂鬱(ゆううつ)になる。
　結局、あれから謝罪するどころか、挨拶もしなくなってしまった。
　謝りに行きたくても、トムは他の男の子たちと居るので、そこに割って入っていく勇気が無かった。

　それからだいぶ経ち、クリスマス休暇が近づいていた。
「Aは、クリスマス休暇は日本に帰るの？」
　ある日の朝、朝食を食べながらエミリーが尋ねてきた。
「うん。年越しもしたいしね」
　夏休み以外は、学校に残っても良いことになっているが、私は日本に帰ることにした。
「そうなんだ……」
　エミリーは、どこか寂しげに視線を下げた。
　私も出来たばかりの友人と離れるのは寂しいが、やはり家族に会いたいという気持ちが強い。
　でも、しょげているエミリーを見ていられなくて、励ますように背中を叩いた。
「休暇明けには、また会えるでしょ。そうだ！お土産に日本のお菓子を持ってきてあげる。食べてもらいたいモノが、いっぱいあるの」
「うん！楽しみにしてるわ！」
　休暇明けのことを話していると、ちょうど前をトムたちが通りかかった。
　それに気づいたセシルが、読んでいた日刊予言者新聞を閉じて呼び止める。
「エイブリー、そろそろ魔法史のレポートを出してちょうだい」
「わかった、わかった。今やってるところ」
　呼び止められたエイブリーは、眠そうに欠伸をしながら適当に答えた。その態度に、セシルは片眉をつり上げる。
「あなた、課題が出されて二週間よ？もう終わってるのが普通よ。Aを見習いなさいよ。課題が出されて、二日で終わらせたわ」
「私の場合は、課題は早めに終わらせるのが習慣になっていたというか……魔法史は元々好きだから、早く終わったっていうか……」
　ホグワーツに来る前から、私には課題を早めに終わらせる習慣が身に付いていた。というか、溜め込んで、後で慌ててやるのが面倒くさいからというのが正直な理由だ。