第四話 黄昏の少年 ページ23
ハッフルパフの女子の告白を断ったようだ。
この光景が、もはや定番となっている。
男子は次から次へと来る女子を、上手くかわしながら大広間を見渡した。
目が合い、微笑まれる。新たに悲鳴が上がったが、私は視線を逸らして無視をした。
「おはようA」
声変わり前の男の子特有の声が降ってくる。
「おはようトム」
ゴブレット越しに、さっき告白を断った男子―――トム・リドルを見つめた。
トムは、朝から爽やかな笑顔だ。だけど、それはさっきの営業スマイルではなく、自然な笑み。数限られた者しか見れない、彼の素の笑顔だ。
「今日もご苦労様。また断って大丈夫なの？」
「まだ君とは知り合ったばかりで、付き合えないって言っただけ。よく知りもしない人とは、付き合えないのは当たり前だよ」
トムは肩をすくめて、私の向かいに座った。両隣に居るセシルとエミリーが、ニヤニヤと私たちを見ている。
「そうだA。今日の午後空いてる？」
「何で？」
「お茶しようかと思って。最近、話せてなかったから」
この言葉に、一気に大広間中の注目を浴びた。特に女子の視線。嫉妬のこもった眼差しが、ビシビシと突き刺さる。
「
「ああ！ 私、今日は無理なの。ちょっとやらなきゃいけないレポートがあって、ごめん！」
私の言葉を遮るように、エミリーが大声を上げて、手を前で合わせて頭を下げた。続いて、セシルが教科書に付箋を貼りながら、
「私も、スラグホーン先生に質問したいから。二人で楽しんできて」
「じゃあ決まり。放課後、談話室で待ってるから」
まだ了承していないのに、トムは決定を言い渡して、テーブルの端に座っている仲間の元に行ってしまった。確か、銀髪がマルシベールで、茶髪がエイブリーだっけ。どちらも純血の名家だ。
そんなことより、突き刺さる視線が痛い。さっき振られたハッフルパフの女子なんて、声を上げて泣き始めた。彼女の友だちが、慰めながら私を睨み付ける。
別に悪いことはしてないのに。責めるように見るのは、やめて欲しい。
あと、
「二人とも、わざとでしょう」
ジトッと両隣を見やる。エミリーは悪戯っ子のように笑って、セシルは教科書を読んでいた。
「さあ、何のこと？ レポートは本当よ。ビンズ先生に昨日、長さが１センチ足りなかったって、返されたの」
「私も。ちょうど聞きたいことを思い出したから」
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
