第一話 魔法界からの招待状 ページ3
窓から射し込む朝日で目を覚ました。
ベッドからゆっくり起き上がり、私はふあ〜とあくびをする。
昨日、夜遅くまで本を読んでいたから当然だ。
ベッドの近くの小机から眼鏡を取り、かけるとぼやけた視界が鮮明になる。
窓の外は雲一つ無い晴天だ。
自然と口元に笑みが浮かぶ。今日は何か良いことがありそうだ。
「おはようA」
「おはようお母さん」
一階に下りると、お母さんが朝食の用意をしていた。味噌汁の良い香りが漂っている。
よそられたお椀を受け取り、テーブルに並べていると、お父さんが起きてきた。
今日は土曜日なので、お父さんもお母さんも起きるのが遅い。
「おはようお父さん」
「ん、おはようA。ふあ〜」
「眠いの？」
「ああ、昨日は残業だったから。帰るのが深夜の１時になったんだ。来週で良かった仕事が、急に今週中になってね。参ったよ」
お父さんは寝癖のついた髪を撫でながら、苦笑した。
日本はブラックだからなーとぼやいている。
お父さんは、大手食品会社の商品企画部の部長で、最近大きな仕事を受け持っているとか。
普段はあまり帰りが遅くないのに、最近は仕事がたて込んでいて、残業三昧だというのは恐らく今取りかかっている仕事だろう。
やりがいがあるのは良いけど、無理はして欲しくない。
「今度、マッサージにでも行く？ 予約なら私がいれるから」
「おお、ありがとうA。やっぱり持つべきものは優しい娘だなあ」
はいはいと適当に受け流して、私は席についた。お母さんも苦笑しながら箸を取る。
いつもと変わらない朝の光景。
私は変わらない日常に感謝しながら、箸を取った。
朝食を食べ終えると、お母さんの手伝いをしたり、お父さんとテレビを見たりして過ごした。
ちょうど、リビングで本を読んでいた時、ピンポーンとインターホンが鳴った。
「私が出るよ」
そう言うと、玄関に行ってサンダルを履いてドアを開ける。
玄関の外には、見知らぬ外国の男の人がいた。とても長い髭、三日月型の眼鏡の向こうの瞳はキラキラと輝いている。
「失礼。君はA・Aさんで間違いないかの？」
意外と流暢な日本語を喋るので、びっくりした。
「はい。そうですが。何かご用ですか？」
「わしはアルバス・ダンブルドアじゃ。君に用があって来たんじゃよ」
後ろから両親が来る。
男の人は両親にも自己紹介をして、懐から一通の手紙を取り出した。
それを私に手渡す。
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
