第三話 組分け ページ18
純血の魔法使いは、スクイブが生まれるのを恐れているの。自分たちの家名が落ちるからね」
と皮肉げに口を歪めている。
私はそれを聞いて、悲しくなった。マグルの間でも差別があるけど、魔法使いの世界でも差別は同じようにあることを思い知らされたからだ。
「どうして純血にこだわるの？ そんなに大事なこと？」
「さあ、わからない。魔法が使えるから偉いんでしょ」
セシルは冷たく切り捨てると、ちょうど目の前に現れたデザートを取り始めた。
デザートは、様々な種類のケーキやタルト、パイ、アイスクリーム、イギリスの有名なお菓子であるプディングだ。
私は、ブドウがたーっぷりのったブドウタルトを食べた。サクサクのタルト生地の中には、ほどよい甘さのカスタードクリームとブドウが入っていて、その上にはこれでもかというほどの大粒のブドウがのせられている。
甘酸っぱいブドウとカスタードクリームが、口の中で
夢中で食べていると、右から視線を感じた。
「何？ セシル。私の顔に何かついてる？」
「ううん。……ただ、Aは食べてるときの百面相が面白いなって思って」
「え？ そんなに百面相してた？」
「うん。特にブドウタルト食べてるとき、すごいニヤニヤしてたよ」
私は、ジワジワと顔を赤らめる。めちゃくちゃ恥ずかしい！
「ふふ。でも、幸せそうに食べれるって大事よ。私も大好物のチーズケーキの時は、ニヤケが止まらないの」
クスクスと笑いながら、セシルはアイスクリームを口に運ぶ。
セシルのニヤケ顔って……何それ、見てみたい。
「見せて」
「いーや」
セシルは、ベーッと舌を出して拒否。チーズケーキが出たら、絶対見てやる。
私はそう決意して、ブドウタルトを頬張った。ん〜、美味しい！
宴会が終わると、一年生は寮ごとに監督生に着いて、寮に案内された。
スリザリン寮は他寮と違い、唯一城の地下に存在している。ジメッとしているけれど、静かで落ち着いた雰囲気があると私は感じた。
「寮に入るときは合言葉が必要だ。よく覚えておくように。忘れたら、寮に入れないからね」
眼鏡をかけた黒髪の男子が、気取った感じに一年生に注意する。胸には監督生バッジが光っていた。
彼はもう一人の女子の監督生と目を合わせると、
「
と唱えた。
彼らに続いて寮に入ると、中は緑と銀色で統一されていた。高級な調度品ばかりが置かれている。
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作者名：オムとセナときどきパール | 作成日時：2020年2月24日 16時
