コリウスの花言葉 (ページ12)

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第二話　ホグワーツ特急ページ12

「そうなの？僕はカレー味だったけど」
「嘘……」
　それから、二人で百味ビーンズを食べたけど、私は軒並みハズレばかりがあたった。私が食べたのは、鼻くそ味、耳くそ味、腐った卵など。ちなみにトムは、当たりばかり食べていた。
「ところで、トムは気になる授業とかある？」
　カエルチョコに付いていた魔法使いのカードを見ていたトムは、私の唐突な質問に顔を上げた。そして、考えるように顎に指を添えると、
「そうだな……強いて言うなら、闇の魔術に対する防衛術の授業かな」
「そうなんだ。どんな所が興味あるの？」
「う～ん。そう言われると難しいな。Aはどうなの？」
「私は魔法薬学が気になるわ。大鍋を使って薬を作るんでしょう？実験みたいで楽しそうだなって」
　私はまあ俗にいう理系なので、実験が大好きだ。早く魔法薬学の授業を受けてみたい。
「確かに、大鍋で何か煮込んでいるのが似合いそう」
「そういうあなたは、杖を握って戦っているのが似合いそうね」
　お互いの顔を見合って、クスッと笑い合う。
　それから、私たちは色々な話をした。私は日本での暮らしを、トムは孤児院での暮らしを語った。
『あと５分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校に届けるので、置いていってください』
　アナウンスが流れ、私たちは我に帰った。どうやら、随分と話し込んでいたようだ。
　車窓の外はすっかり暗くなっていて、遠くに明かりが見えた。
「そろそろ着替えようか」
「ええ、そうね」
　私たちは慌てて、制服のローブに着替える。私は緊張でガチガチだった。トムも心なしか、少し顔色が悪い。
　私はステラを籠の中に入れると、
「じゃあ、また後でね」
頭を撫でると、ステラは「ミャア」と鳴いて私の手に頭をすり寄せた。
「君との旅路は楽しかったよ」
と、トムも声をかけていて、ステラはトムの手にもすり寄る。すっかり仲良くなったみたいだ。
　それから、私たちは他の生徒でごった返す廊下に出た。
　やがて、列車はスピードを落とし、完全に止まる。
　ホームに降り立つと、魔光ランプを持った一人の男の人が大声で、
「一年生はこっち！一年生はこっちに来なさい！」
と叫んでいた。
　私たちはそちらへと向かい、男の人の前に並び立つ。
「初めまして、一年生の諸君。俺はオッグだ。ホグワーツの森番をしている。さあ、着いてきて」
　オッグに着いていくと、大きな黒い湖の沿岸に来た。
　そこで、四人ずつボートに乗っていく。