入学式 ページ4
『んんぅ…』
暖かく、柔らかいものの上で目が覚めた。
頭を上げれば隣にいる人と目が合う。
『あ…れ…？せい…やくん？』
「おはよう。
目が覚めたのかな？」
先程まで重かった瞳がカッと見開く。
『え……え！？
なんで……私さっきまで…』
「湊の家でお風呂に入ったばっかり…でしょ？
あの後ぐっすり眠ってたみたいだね」
ふふふと笑いながら状況を説明する静弥くんに顔が赤く火照る。
「起こすのは悪いなと思ったからそのままにしてたんだ。
でも…ぐっすり眠れたみたいでよかった」
私を背負っているのは湊くん。
『起こしてくれてもよかったのに…』
ぷぅっと頬を膨らませる。
「だって千花は寝不足でしょ？
起こしたら学校で寝ることになるよ？」
うぅ…それは嫌だ。
湊くんと静弥くんから叔父さんに情報が渡る。
つまり何が言いたいかというと、心配性の叔父さんが飛んでくる可能性があるのだ。
仕事を放棄して。
『ありがとう…』
しばらくすれば新高校。
風舞高校の校門に着いた。
『湊くん。
私歩くから降ろして』
背中をポンポンと軽く叩き耳元で喋る。
湊くんはその場にしゃがんで私を降ろす。
──隣に並ぶとやっぱり大きいなぁ。
私がチビというのもあるだろうが、やっぱり2人とも背が高い。
見上げる私の首が根を上げそうだ。
『私…先に教室行ってるね』
2人の間に流れる何とも言えない空気に私は逃げる。
──何があったのかは知らないけど、邪魔したらダメ。
『また…後でね』
手を軽く振って校舎内に入る。
そんな私を2人は笑顔で見送ってくれた。
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作者名：おとうふまんじゅう | 作成日時：2023年4月6日 0時
