4話 久遠の館 ページ5
白石家から、春坂家に引き取られ、早5日。いくら、今の職業踊り子のトップ、花の様に薫る【ユリア】に舞踊を教えてもらっているとはいえ、そんなに一気に仕事は舞い込んでこない。巴様も、毎日のように舞い込んでくる仕事で一杯で、最近はずっと、あの桃花弁が如き顔は視界に入らない。
冬が来た。
辺りは、もうすっかり白銀の光に埋め立てられて、久遠の館と呼ばれる春坂屋敷も、白銀の光の猛攻には敵わず、数日前には、ひっそりと息を潜めていた。
最近会わせてもらった、春坂屋敷の御屋形様、零斗様は、冬が1番好きだと、仰られていた。春坂屋敷が息を潜め、何時も、当然の様に感じていたその息吹が感じられずに、憂うこの季節が――――と。
白石家の御屋形様とは全く違う、気弱そうなお方であった。
今も、目を瞑れば、浮かんでくる、あの言葉。ひっそりとしていて、どこか、強い芯を持っている、好ましい言葉。一瞬だけ、お父様の、高圧的な言葉が脳裏を過る。もう過ぎたことであるはずなのに、未だあの方の影は、私を蝕む。時折、柱の影、木の影、曇りガラスの先で、あの人の視線を感じる。
久遠の館の由来は、古来の色々なものが、この館から離れたがらない、というところかららしい。そうなのであれば、私を取り巻くものも、私に着いてきて、この館に憑いたのではないか、追い出されてしまうのではないかと、不安が、私の心を取り巻いた。
『七つ八つ九つ十。繋がりて、繋がりて、久遠の屋敷よ久遠であれ』
母様であったはずの母のあえかなる歌声が、曇りガラスの向こうで、響いた気がした。
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ましら(プロフ) - fruitさん» 返信遅れてごめんね!そう言ってくれて凄い嬉しい!読みにくいし作品はバンバン消すわの私の作品を追いかけてくれるなんて、凄い嬉しいよ。fruitちゃんの優しいところ凄い好き。コメントありがとう! (2017年9月16日 21時) (レス) id: 512c5a6245 (このIDを非表示/違反報告)
fruit(プロフ) - おおー!またもや面白そうな作品で・・・!この作品も追いかけさせていただきます(^。^)更新頑張ってね!! (2017年7月26日 21時) (レス) id: e09a409b3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましら | 作成日時:2017年1月30日 16時