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「 そういえば、佐久間とは仲直り出来たの？ 」
二コマが終わって、学食で昼食中。全く違う話をしてた筈の宮ちゃんが突然昨日の話を出して来て、危うく食べてた物を吹き出す所だった。
今日は朝から一緒に講義受けてたけど何も言われないから、てっきり忘れてるのかなと思ってたのに。
「 仲直り、と言うか……別に喧嘩してた訳じゃ無いよ 」
「 そーなの？ 」
「 うん。ちょっと、お互いに勘違いしてただけ 」
「 ふーん 」
あの後、佐久間くんが家まで送って呉れて。彼の家は反対方向だって言うから、流石に申し訳なくて断ったんだけど、俺が引き留めて遅くなっちゃったから、って。
関わらない様にって気を遣ってた相手が隣を歩いてるなんて、不思議な時間だったな。
「 上手く行ったんなら良かったわ、正直佐久間行かせた事後悔してたからさぁ 」
「 えっ、何で？ 」
「 酔ってる勢いで、だったし。Aって基本的に好き嫌い無く人に接するじゃん 」
「 まぁ、うん 」
「 そんなAに避けられるって、余程の事があったんじゃない？って後で皆で話してさ、ビビってたの 」
「 なるほど、笑 」
余計なお世話じゃなかった？なんて、少し不安そうな顔で宮ちゃんが言うから、寧ろ感謝してる、と口にする。
何時も誰に対しても、友好な関係を築けたら良いのにって心の底では思ってて。でも、二十年生きてみれば、それは難しい事なんだって嫌でも分かったし、諦める癖が付いた。
付いたんだけど、何でだろうね。佐久間くんの事は、諦めたくないって思う私が、確かに存在してた。
( けど、昨日の事が無かったらきっと、 )
良くも悪くも、相手の気持ちを考えずに踏み出してみる、なんて勇気を持ち合わせてない私は多分、現状を変えられなかったと思う。
A、ってさぁ。小さな宮ちゃんの呟きをかき消したのは、私と宮ちゃんの名前を呼ぶ、もっと大きな声。
振り向いて、あってなって、また視線を戻す。……いや、タイミング。
「 Aに宮じゃん 」
「 おー。アンタらちゃんと午前出たの？ 」
「 いやふつーにブッチよ 」
「 だろうね 」
座っていー？なんて聞きながら机にお盆を置く、ふっかとしょっぴー。二人して私の向かい側の宮ちゃんを挟むから、ねぇ、その座り方したらさ。
「 ……隣、良い？ 」
「 あ、うん、もちろん 」
佐久間くんが、私の隣に来るしか無くなる、んだけど。
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作者名：瀞 | 作成日時：2024年2月28日 0時
