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「 な、何でそう思ったの……？ 」
「 何で、って。だって佐久間くん、他の人と居る時は楽しそうに喋って笑ってるのに、私の前だと全然喋らないし、声小さいし、表情も硬いし、 」
ハッとした顔をして俯く彼は、言葉に詰まった様子で。
よくよく考えてみれば、佐久間くん本人から何か直接的な言葉や態度をぶつけられた事は、一度も無い。
言ってしまえば、私が勝手に彼の気持ちを解釈して、勝手に空気を読んで、勝手な行動を取っていただけ、なんだ。他に何か事情が有ったのかもしれない、そんな考えに至らなかった事が良くなかったな、と思う。
「 それは、俺が、 」
「 うん 」
「 … 」
「 ？ 」
「 ……や、実は一対一で喋るの、苦手なんだ 」
呑み込む前に、流石に一瞬、本当か疑って仕舞った。そうだとしても、集団と個人とであんなにも雰囲気やテンション感が変わるのかって。
まぁでも、彼が他の人と一対一で話す所を意識して見た事は無いから、実際の様子を覚えている訳では無いし。傍から見たら普通に見えていても、本人の中では苦手意識が有るのかもしれない。
兎に角嫌われては無いと言う事だから、細かい所に突っ掛からなくても良いんじゃないかって、そう思って当たり障りの無い返事をした。
「 ごめんね、でもほんとに嫌いとか、そんなんじゃなくてむしろ 」
「 ……むしろ？ 」
「 あっ、えっと……もっと仲良くなりたい、って感じ、です 」
別に恥ずかしがる必要は無い言葉だと思うけど、彼の声が段々と小さくなっていって口篭るから、ちょっと照れ臭くなって来る。
面と向かって「 仲良くなりたい 」なんて言われるの、何時ぶりだろう。小学生の時以来かもしれない。むず痒いけど、やっぱりちゃんと言葉にして伝えて貰うって、嬉しいんだな。
「 ……私も 」
「 へっ 」
「 仲良くなりたいよ、佐久間くんと 」
「 ！！！ 」
また目を大きくした後で、キュッと上がる口角。初めて向けられた、彼のはにかんだ様な笑顔を直視出来なくて、今度は私から視線を逸らした。
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作者名：瀞 | 作成日時：2024年2月28日 0時
