貴方の綴れに生命の音を (ページ42)

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康二「身長伸びた？」

丈「俺、成長期ちゃうからな？」

勧められた椅子に座ると、

手にしていたマウスを離して

こちらを向く康二。

康二「ナイスツッコミ」

丈「やかましいわ笑」

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俺と大吾の1学年上で

小中が一緒の向井康二は

第2性別、……特にα、Ωの専門医。

元々和也の主治医で、

今は俺の主治医として世話になってる。

昔は一緒にランドセル背負って走り回っとったんに

今はスクラブが似合うような大人になっとんのが

なんか腹立つけど…笑

毎回ボケ倒してくるし、

病院来たって感じが全くせんくて。

まぁ、この科には

このくらいの元気ってかテンションが

必要なんかもしれへん。

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康二「子どもたちは？元気？」

丈「おぅ、今日もこども園行ってる。」

康二「そろそろ卒園やないん」

丈「上の子は今月やな。」

そっかそっかと目を細めて頷く康二。

うちの子が生まれた時、

その2回とも立ち会ってるからこそ

抱く感情は特別らしい。

康二「卒園式は？」

丈「行かへんで、店で待っとく。」

康二「…そう。」

きっと答えは分かってたはずなのに

わざわざこうして聞いて項垂れる康二には

きっと医者としても幼なじみとしても

一抹の希望があったんやと思う。

そんな康二を見ていれば

抑えようと思っていた感情が

口をついて出てきた。

丈「…俺、まだ怖いんよ。」

康二「……。」

丈「今でも、触るだけで勇気いるし、

何かの拍子で子どもの手が

俺の体に当たったらどうしよって

無意識に距離とったり。」

俺は今この場で

何を欲しているのか。

康二「丈。」

丈「俺また、、…傷つけてるんかな。」

人を受け入れられない俺の身体は、

今猛烈に

人を求めていた。

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