貴方の綴れに生命の音を (ページ5)

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丈「ほら、はよ寝ぇ！」

布団の上でゴロゴロと遊び続ける2人を

無理やり寝かせて布団をかける。

星空「まだ眠ないもんな〜？」

飛鳥「ねむない！」

丈「明日こども園やろ、遅れたら大変やで？」

飛鳥「ちゃんとおきる！」

丈「飛鳥が1番起きひんやろ笑」

ってまぁ、こんな言い合いをしていると。

丈「……、、笑」

2人ともいつの間にか夢の中。

小さな布団で

2人、手を繋いで。

まだ小さい身体。

産まれた時と比べれば

何倍と大きくなって……。

柔らかい髪の毛をそっと撫でた。

あの日と変わらない。

あの日、あの時。

俺だけが感じた、

あの感触。あの感覚。

丈「…おやすみ……、。」

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リビングに戻ると、

ダイニングテーブルには

ひとつ、ぽつんと残ったケーキ。

フォークを添えて、

和室へと持っていく。

部屋の真ん中、電灯の紐を引くと

てんてん、と点滅して

パッと辺りが明るくなった。

そして現れたのは、小さな仏壇。

丈「……、ほい。」

手に持っていたケーキを、

そこに置いた。

丈「飛鳥、5歳の誕生日ケーキです。」

せっかく寝かしつけたものを起こしてはならぬと

静かに、ちーんと鳴らして手を合わせる。

丈「どんどん大きなってくなぁ。

俺が置いてかれそう。」

丈「いつか抜かされるんかな？

いやでも、俺もお前も小さかったし望み薄いか笑」

丈「大吾、来週来てくれるって。

楽しみやなぁ笑星空も飛鳥も喜ぶで。」

返事のない一方通行の会話。

それでも、俺には聞こえる。

お前の声が、鮮明に。

あの日からずっと、俺に。

語りかけてくるお前の声が。

飛鳥が産まれて5年。

……お前が居なくなって、5年。

丈「食ったら寝ぇよ？

あ、ちゃんと歯磨かな虫歯なってまうからな、

よお磨いてから寝るんやで。」

そう言って立ち上がると

また紐を引いて、電気を消す。

丈「ほな、また明日。」

廊下から漏れた光で

暗がりに浮かぶ、小さな遺影。

いつもどんなときも見せてくれていた、

仏壇とはアンマッチのキラキラ輝く笑顔……

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丈「おやすみ……和也」

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