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飛鳥「ママ、プリンです！」
飛鳥が仏壇に、大吾が持ってきてくれた箱を置く。
大吾「うん、ありがと飛鳥。
したら、ふたりとも座って？」
素直に大吾の隣に座る2人。
大吾「お線香は危ないから俺やるな？」
星空「おれ、ちーんってする！」
大吾「ん、ほな星空お願いします。笑」
俺も、3人の少し後ろに正座して
みんなで手を合わせてお参りした。
星空「ママになんておねがいした？」
飛鳥「かめんラ〇ダーの
ベルトほしいですっていった！」
丈「サンタみたいなっとんやん笑」
俺が苦笑すると、大吾も笑いながら立ち上がった。
大吾「ええんちゃう？笑
……ふたりとも、ちゃんとママとお話できた？」
飛鳥「おはなし？」
飛鳥と星空の方へ向き直った大吾の問いかけに、
2人揃って首を傾げた。
大吾「これはな、星空とか飛鳥とか、みんなが
ママとお話出来る場所なんやで。」
大吾が仏壇を指すと、
星空と飛鳥はもう一度座り直し、そこを見つめた。
星空「でも声、きこえへん。」
しばらく静かになったあと、
星空が振り向いてそう言う。
その2人に、大吾が歩み寄った。
大吾「ママはな、お空におるって話したやろ？
お空からやとな、
遠くて声が聞こえんくなってまうねん。
やからママは、みんなの心に声届けれんねんで。」
2人の間に正座して、再び手を合わせる大吾。
子供たちも真似をして、目を瞑り手を合わせた。
飛鳥「…こころでおはなしするん？」
大吾「そう。
俺たちの思っとんことがママに伝わるなら
ママが思っとることも俺たちに伝わるやろ？」
大吾は笑って、
3分の2ほどになった線香の先端、
赤く光る部分を見つめていた。
星空「だいごにぃちゃんはきこえるん？
ママの声。」
その視線は、一向にぶれることなく
灰になったお香はパラパラと崩れていく。
大吾「……うん。笑」
空気の動かない空間。
煙は一直線に立ち上って、気付かぬうちに消える。
大吾「……聞こえる、。
ずっと…、ずっと聞こえる。笑」
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……それはきっと、聞きたくない時も。
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作者名：まつだいら | 作成日時：2022年5月21日 20時
