貴方の綴れに生命の音を (ページ27)

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2人のお母さんは、俺の奥さんは。

亡くなってもうて、もうここには居らん。

ただそれだけが、

怖くて、ずっと言えずにいた。

いつか言わなって分かってんねんけど……って

そう、大吾に相談して。

「星空と飛鳥のママはな？今は天国におんねん。」

昨年のこの日。

大吾が隣に居てくれて、それでやっと話せたんや。

どうしても言葉に詰まって、

それ以上の説明は出来なかった。

2人がそれだけで理解出来たのかは分からない。

“人の死”というものが、

いまいちピンと来てないのでは無いかと思う。

「じゃあ、ママはおそらにおるん？」

星空にそう聞かれて、

俺は何も言えずに、手がぶるぶると震えた。

「うん、そうやで。」

大吾が俺の肩に手を置いて、

代わりに答える。

「星空と飛鳥のことをな、

1番見やすいとこで見守ってくれてんねんで。」

すると飛鳥は、急に立ち上がり窓へ向かって。

レースカーテンを開けた外は、

雲もまばらの青い空。

「ママ〜！」

と笑って手を振った。

星空もそれを追いかけ、

隣に並んで母親に声を掛けた。

俺は後ろで、泣いていた。

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