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凍てた月夜を貴方の傍で ページ43

―――


和也くんが逝った日の大吾くんと正門くん。


―――



大吾side



丈「…かず、や……、、

かずや。…かずや…、、ぁ……、…」



目の前に横たわる亡骸が実の弟だと言う事実を

どうしたら俺は理解出来るだろうか。


あんなに丈くんが大好きだった和也が、

丈くんに抱きつかれても無の顔で眠っている。


そう。


和也は眠ってしまった。



ひとり、タカラモノを産み落として。

和也は眠ってしまったのだ。



近付いて、手を握ってみた。


少し形が変わっていて、俺は目を伏せる。


血が拭われた跡があった。


青く変色した痣があった。


青タンを押すと

「やめて〜!笑」

と逃げていた和也は、


そこを撫でただけでは反応しなかった。



大吾「…………、、。」



本当に、何も言えなかった。


言葉を投げかけてやりたくても、

本当に何も出なかった。



……俺がしっかりせんと。


お父さんもお母さんも、

丈くんも星空も飛鳥も居る。


俺がしっかりせんと。


俺が。



そっと和也から離れて

一生懸命息を吸った。



でもさっき、俺が言ったのだ。



“和也の命は諦めよう”と。



俺が言ったのだ。



丈くんに代わって、両親が泣いている。



涙も溢れてこない薄情者の俺は、

逃げるようにそこを飛び出した。



そこから、逃げた。







大吾「…はぁ、はぁっ…、はぁ…、、」


行き着いた場所は、

病院の屋上だった。


肺が凍てつくような冷たい空気。


白い息を吐く。




和也の傍に居ったげな。





その“傍”が俺は分からなくなっていた。




何気なく時間が気になって、

スマホの電源をつける。


大吾「……っ…!」


……瞬間、それが震えた。


まるでこの世界に俺を絆すかのように。




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のあ - 頑張ってください〜!!更新待ってます!! (2023年1月21日 11時) (レス) id: c5462c43aa (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - のあさん» 遅くなりました!💦 今後もだいぶ更新する間隔が開くと思います……すみません!その分勉強頑張ります! (2023年1月20日 23時) (レス) @page42 id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 更新待ってます〜!! (2023年1月14日 13時) (レス) id: c5462c43aa (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - のあさん» 本日、更新予定です!返信遅くなりすみません💦本年もありがとうございました! (2022年12月31日 20時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 次更新するのっていつですか?教えてほしいです✨ (2022年12月31日 8時) (レス) id: d683609e2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつだいら | 作成日時:2022年10月3日 20時

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