貴方の綴れに生命の音を 番外編

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和也「……丈くん」



赤信号で止まったタイミングで

俺は和也と目を合わせた。



丈「ん？」


和也「いつかしとかなあかん話やから

今しとくな？」



逆に和也が目を逸らして、

珍しく真剣な横顔を目の当たりにする。



和也「もしもの話。」


丈「うん。」



信号が青になり、

俺は前を向かざるを得なくなった。



和也「もし、なんかあった時は、

俺よりこの子のこと優先して。」



俺は間違って

ウィンカーじゃなくワイパーを動かした。


そんな大事な話。


それをここでしたのには

なにか意味があるのかもしれない。



丈「……俺は嫌やな。」


和也「うん、知ってる。笑

やからお願いした。」


丈「俺はどっちも助けたい。」


和也「そっか。」



静かな車内。

後ろのベビーベッドが振動で音を立てる。



和也「あ、ここラーメン屋出来たんや」



和也が外を指さして、

豚骨やって〜、と笑った。



和也「3人で行こな〜笑」



俺はただ、こう返した。



丈「おう。」



これは和也の愛やから。


星がきらりと輝く夜、

静かにそれを受け取った。



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