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丈side


園内も暗くなり、

少し寂しげな和也の瞳に非現実的な光が反射する。


3月とはいえ、まだ少し肌寒い夜。


握っていた手を

俺のロングコートのポケットに突っ込んだ。


和也「早いなぁ。」

丈「そうか?だんだん昼長くなってきたで。」

和也「ちゃう。丈くんと一緒居ると。

時間経つの早い。」

丈「確かに、それは。笑」


風が少し吹いて、和也が首を襟元に埋めたから。


引き寄せて、俺の体温を分けようとした。


久しぶりに丸一日を一緒に過ごして改めて抱いた

どうしようも無い愛おしさを伝えたかった。



丈「飯食い行くか。」


和也「ん、もう出る?」



名残惜しそうな顔を見せる和也に俺は微笑む。



丈「中にあるレストラン、予約した。」



行こ、と手を引けば

少し間が空いて、うん、と一言返ってきた。







丈「卒業、おめでとう」



グラスに注がれたソフトドリンクで

卒業を祝した乾杯をする。



和也「ありがとう!」



予約していたパーク内のイタリアンレストランは

思ったよりも人が疎らだった。


時折聞こえるBGMが、

ここがまだ夢の国の中だと俺たちに実感させる。


和也「ん!うま!笑」


目の前で肉を頬張る和也。


その顔を見ながら、

炭酸の弾けるグラスに口付けた。



和也「やっぱええなぁ、イタリアン。」


丈「そんなに好きやった?イタリアン」


和也「なんか響きかっこええやん。」



今日、何故イタリアンを選んだかと言えば、

和也が4月から行く修行先が

イタリアンレストランだったから。


何となく安易な考えで。



丈「まさかお前、修行先もそれで選んだんか。」


和也「それもある。」



それより単純な考えをする奴に

気の利いた選択は不要だったか。



和也「でもやっぱり、1番はな。」


丈「おん。」


和也「俺の目指す料理人像に、

シェフがドンピシャやってんな〜」


目をキラキラ輝かせる和也に、

俺はそうか、と笑った。


1人前になったら料理を作ってくれると言うから、

毎日作って欲しいと頼んだ。


きっとその真意を、和也は分かっていない。





和也「ご馳走様でした!」


店を出ると、空は深い黒に包まれていた。


丈「よし、行くか。」


俺はまた、和也の手を引く。


和也「ん?次どこ?」

丈「……ホテルも取ってる。」

和也「え、でも、」


丈「和也ママにOK貰ったわ。笑」


あと一応大吾にも、と苦笑いすると

和也が、ブラコンやからなぁ、と同じく苦笑した。



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のあ - 頑張ってください〜!!更新待ってます!! (2023年1月21日 11時) (レス) id: c5462c43aa (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - のあさん» 遅くなりました!💦 今後もだいぶ更新する間隔が開くと思います……すみません!その分勉強頑張ります! (2023年1月20日 23時) (レス) @page42 id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 更新待ってます〜!! (2023年1月14日 13時) (レス) id: c5462c43aa (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - のあさん» 本日、更新予定です!返信遅くなりすみません💦本年もありがとうございました! (2022年12月31日 20時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 次更新するのっていつですか?教えてほしいです✨ (2022年12月31日 8時) (レス) id: d683609e2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつだいら | 作成日時:2022年10月3日 20時

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