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「お前アホちゃうか笑」


「はぁ?黙れボケ笑」




彼ら3人がこうして橋を渡っている時、


老婦人はやっとスロープを登り終えた。


青年はまだ中腹辺りを歩んでいる。



老婦人の買い物袋からは

白ネギが一本顔を覗かせていた。


彼女はそれを逆の肩にかけ直し、

橋を一歩一歩渡り始める。





「ってぇ!!」




向かいから歩く少年たちには


その背の小さな老婦人が見えていなかったらしい。



「あ〜、たいへん!ごめんなさいね。」



己に非がなくとも謝ってしまうのは

彼女の数少ない短所のひとつだった。



買い物袋から転げる

パック入りの2つのトマトは


この日が12月であったが故

夏よりも大分高値で購入したものである。



「どこ見てんねんババア!」


それはこちらの台詞だと、

老婦人は思わなかった。


前述した通りの心優しい人間である。



「ほんま、かんにんなぁ。怪我なかった?」



そんな彼女を見て、



「あ〜、痛てぇ〜」


少年のひとりが、

大玉のトマトを思い切り踏みつけた。



そしてちょうどその頃、あの身重の青年が

歩道橋の端のスロープを登り終えた。



「血ぃ出てもうたわ〜!笑」



少年は、飛び散り足に付いたトマトの種子を

老婦人に見せつけながら言った。



彼女は何も言えず、

少し顔を青くして息を吸う。



少年達はトマトから臓物が吹き出す

その面白さに駆られたようで


残ったもうひとつの赤い玉も踏みつけようとした。



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まつだいら(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます!また落ち着いたら、色々と書いていきたいです!読んでくださりありがとございました!✨ (2022年8月19日 16時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主さんのお話大好きです!!ぜひ裏設定も読みたいです!! (2022年8月18日 16時) (レス) @page45 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - 莉里さん» ありがとうございます!オメガバは需要が少ないと思っていましたが沢山の方に読んで頂けて本当に嬉しかったです!また戻ってこれた際は是非、よろしくお願いします! (2022年8月13日 6時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - 完結おめでとうございます。オメガ設定は数少ないので、とても好きな作者さん、作品のお一人です。いつか戻ってきてくださることを楽しみにしています。 (2022年8月12日 21時) (レス) @page45 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - ayさん» ありがとうございます!読んでいただけて、温かいコメントも頂けて本当に嬉しいです!もう少しで完結ですので最後までお付き合いお願いします! (2022年7月31日 0時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まつだいら | 作成日時:2022年7月19日 19時

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