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丈「…ふぅ……、、」
みっちーと交代で風呂に入って、
ゆっくり湯船に浸かってからリビングへ行くと
みっちーは隅っこの方で
小さく体育座りをしている。
丈「なにしてん笑」
駿佑「落ち着きます…笑」
丈「なんやそれ。笑」
俺は冷蔵庫から
ジンジャーエールを2本出して
その1本をみっちーに差し出した。
丈「風呂上がりの1杯」
駿佑「いただきます。笑」
ごくごくと一気飲みすると
炭酸が鼻に抜ける。
俺はソファに座り、
みっちーをそこに促した。
駿佑「雨、すごいですね。」
丈「……せやなぁ…。」
カーテンの向こうでは
雨粒が己の存在を示すように音を鳴らす。
駿佑「明日には、止むかな。」
丈「……ずっと、止まへんかったらええのに。
……って言うたら笑う?笑」
みっちーは、笑わなかった。
俺はジンジャーエールを飲んだ。
駿佑「……丈一郎さん。」
丈「ん?」
駿佑「丈一郎さんはなんで、
今日公園に来たんですか?」
みっちーは
俺と自分が会った経緯を聞きたいようで。
でも、
その理由を口にすると
俺は彼を不幸にしてしまうような、
駿佑「……奥さんに、会いに来たんですか?」
……そんな気がしていた。
丈「…え?」
手にじっとりと感じる水分は
ボトルの結露か、
それとも核心を突かれた緊張による手汗か。
駿佑「なんか…思い出に縋ってるような、
そんな気がしました。」
丈「……俺、そんな風に、見えた?」
駿佑「はい。」
きっとそれは、俺じゃない。
駿佑「なんか、丈一郎さん。
ずっと寂しそうや。」
俺は絶対俺なのに。
丈「なあ、みっちー。」
駿佑「はい。」
俺が俺で無ければいいと何度思っても。
俺はずっと、
無様に俺で在り続けなければならない。
繕っても繕ってもボロが出る。
そんなオンボロな俺は
俺を好いて生きなければならない。
丈「……話し相手、なってくれる?」
駿佑「はい。」
俺を否定する権利は、
丈「俺の、奥さんさ、。」
俺に無い。
丈「殺されたんや」
俺の震えは
丈「……見ず知らずの、高校生に、…」
ただ、震えのまま。
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まつだいら(プロフ) - Rioさん» コメントありがとうございます!また落ち着いたら、色々と書いていきたいです!読んでくださりありがとございました!✨ (2022年8月19日 16時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
Rio(プロフ) - 主さんのお話大好きです!!ぜひ裏設定も読みたいです!! (2022年8月18日 16時) (レス) @page45 id: 9d6c92ab72 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - 莉里さん» ありがとうございます!オメガバは需要が少ないと思っていましたが沢山の方に読んで頂けて本当に嬉しかったです!また戻ってこれた際は是非、よろしくお願いします! (2022年8月13日 6時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
莉里(プロフ) - 完結おめでとうございます。オメガ設定は数少ないので、とても好きな作者さん、作品のお一人です。いつか戻ってきてくださることを楽しみにしています。 (2022年8月12日 21時) (レス) @page45 id: fd324481c2 (このIDを非表示/違反報告)
まつだいら(プロフ) - ayさん» ありがとうございます!読んでいただけて、温かいコメントも頂けて本当に嬉しいです!もう少しで完結ですので最後までお付き合いお願いします! (2022年7月31日 0時) (レス) id: 086f901055 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつだいら | 作成日時:2022年7月19日 19時