貴方の綴れに生命の音を3

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丈side



みっちーを抱きしめた瞬間。


丈「ひっ…、っ…ぅ゛…、っ…！、」


襲ってくる吐き気。


俺の意思で抱きしめたのに、

俺の本能がそれを退けようとする。


駿佑「丈一郎さん、大丈夫…。」


丈「っ…ゲホッ…、ゲホッ…、ぅ…っ…ぐ……、」


片手で己の口を抑え、

出てくる嘔吐きも何も飲み込んだ。




…離したくない。


……離すものか。





5年間、欲してきた温もりを

俺の身体に無理やり受け入れさせようとした。



丈「…ご、め…っ…ぅ…、ごめんな、ぁっ…、」


駿佑「ええよ、丈一郎さん、戻してええよ。

無理しやんと、全部吐き出してええから。」



そう言って、みっちーが俺の背中を摩る。

俺はそれで気が抜けて


みっちーの服に、身体を震えさせながら戻した。



丈「ゴホッ…、ぐ…ぅ…、、はぁ…はぁ、、」



またやってくる波に身構えて。

目からは涙が止まらない。



丈「っ…ゲボ、ご、め、…っぐ…はぁ…、はぁ……

ぅ…、ひ、はぁ…、ごめ、ん、ぅぐ…、っ、…っ」



駿佑「大丈夫。大丈夫……」





みっちーの胸の中。





丈「ご、めんな、…っ、…ぁ…、

か、なた…っ、…あすか…、…ぅ、…ゲホッ…、っ…

ごめん、な……、、

ほん、ま、。…ほんま、ごめん……、っ…」




一度漏れ出してしまえば止まらない言葉。





嘔吐きながら、泣きながら。



あいつらにはまだ言えない。


そんなごめんを、

つい数週間前に出会ったばかりの

赤の他人にぶちまけた。




丈「ご、めん…っ…はぁっ…、ゲボッ…、っぐ…

ごめん…、ごめ、…っ…ごめ…ん…、、」




こうしている間も俺の左手は

みっちーの胸元を押し返し続ける。



それでもみっちーは

俺を離さないで居てくれた。





……ごめんな。

星空、飛鳥、ごめんな……。



運動会のかけっこで1番なった時、

お遊戯会で歌じょうずに歌えた時、

父の日に、
俺の絵を描いてプレゼントしてくれた時、


いつか2人が、“ママに会いたい”と泣いた時……。



抱きしめたれんくて。



お母さんの分の愛情、注げへんくて。



ほんまごめん。


……普通の父親やなくて、ごめん。





丈「ごめん、な、…っ、ぅ…、、

かずや、っ…、ごめ…ん、っ…ごめん…、、」





お前の遺した2人のタカラモノに

寂しい思いさせて、ごめん。





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