貴方の綴れに生命の音を3

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丈side



和也の死、俺の拒絶反応。

それを一通り話し終えたときには、


俺のジンジャーエールのボトルは

空っぽになっていた。



丈「結局、うちの奥さん殺した3人組のうち

1人は少年院行ったんやけど、

あとの2人は保護観察。

前科は付かんかった。」



駿佑「……、、。」



和也の事件は全国ニュースで報じられ

今でも調べれば直ぐに出てくる。



星空、飛鳥は

若い母親に先立たれた可哀想な子どもたちとして


知らない人間の訳の分からない考察を交えた

訳の分からない文章にまとめられていた。




そして俺は

少年事件を取り締まる人間のくせに、

少年に妻を殺された間抜けな警察官だと


それもまた、面白可笑しく書き綴られていた。





そのどちらの記事にも入っている

容疑者、少年A,B,C。


実名報道は無かった。




丈「なんにさ、昨日。

逮捕されたんやって。大人になった少年Aが。」




俺たちが、5年前必死に隠し通したあの名前は

5年後の今、あっさりと世間に知れ渡った。




丈「少年法は、少年の未来を守る為にあるんや。

過ちを二度と犯 させへん、

その更生のチャンスを与える法律なんや。」



少年たちは少年院でで、そして社会で

しっかりと生まれ変わったはずだった。


和也の死と引替えに

3人は真っ当な道を歩むはずだった。




駿佑「それでも、、更生せんかった……」



丈「……通行人に暴行やって。

何も変わってへん……。


なんか、もう、さ……。

和也は無駄死にやったって……


言われとる気がして…」




和也が死んだ意味。


そんなもの、あってたまるか。


そう言いたくても、


無意味に死ぬことの悔しさも

苦しい程に理解が出来た。



丈「それでもう、どうしようもなくて

どうしたらええかわからんくて、


泣きながら公園行ってん。笑

ほんま、ダサいよな。笑」



俺は俺を嘲笑した。

みっちーにも嘲笑って欲しかった。



駿佑「そんなこと、無いです。」



みっちーはくすりとも笑わなかった。


真顔で俺の顔を見ていた。


でも俺はどうしても、

みっちーに笑って欲しかった。



丈「おもんないな、俺。」


駿佑「………、。」




みっちーの持つボトルには

まだ半分ほど金色の液体が残っている。




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