貴方の綴れに生命の音を3

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(丈side)





「藤原！！藤原待て！！」


背後から聞こえる上司の声も聞かずに


俺は取調室横の部屋へ飛び込んだ。



和也の葬儀を前日に済ませた

そんな空虚な朝の事。




「藤原！一旦落ち着け」


流星「丈さん…っ…」




後からついて来た流星は


俺の拒絶症状を知っているが故

誰にも身体を触らせないように


俺を腕で庇うようにして場を収めた。




「やからぁ…」



丈「っ、、…」



俺はマジックミラーの向こうに座っている

少年を見つけた。





「ちょっと押しただけで、

あの人が勝手に落ちてったんすよ。」





この部屋にいる全員が

息を飲んで見つめていた。



あいつか。



あいつが。




怒りが湧くかと思ったが、


意外にも、何も出てこなかった。



目の前に

俺の伴侶を殺した少年が居る。


現実離れした現実が

あまり自分のことのようには思えなかった。




そんな、少し浮ついた気分は


次の瞬間粉々に散る。




「つか、死んでもうた人、

腹に子どもおったっすよね？」




へらへらと口から音を吐く少年が

鏡のようなガラスを隔てて。



へらへらと不快な笑い声を漏らし、

横柄な座り方に

止まらない貧乏揺すり。




「そのガキ死んでもうても

俺、人殺しにはなんないっすよね？

生まれてへんし。」



丈「……は……？」




スピーカーから聞こえる声は

やはり作り物の世界だと信じたかった。



これは典型的な、

よくある設定のドラマの一節。



このガラスは液晶で、

目の前の光景は、駄作と謳われた映画の一コマで。



俺はその一視聴者に過ぎないと、





「ホーリツ上やと、物みたいなもんやからって

先輩が言うてはって、笑」





そう信じたかった。




「藤原っ…取り敢えず出ろ！」



流星「丈さん、聞かんでええです、っ…、、」








“殺したい”







あまりにも簡単に浮いて出た言葉。



願望と言うよりは、

使命に近かった。







「大体これ、悪いの俺だけやないっすよ？

あいつが俺らに難癖つけてきたんやし。あと、、」






殺さな、あかん。



こいつは俺が、



殺さなあかん。




「あいつ、Ωやったし。笑」




丈「………、、、…っ〜…、、っ、！！」




あかん。


あかんねん。



殺さなあかんねん。





この感情は、




和也の為に、殺さなあかんねん…っ…、、。





丈「……あぁぁぁああ゛あ゛あ゛っ！！！！！！」





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